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指定管理者同士が訴訟、制度の機能不全に指摘も/横浜

2009年12月21日

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静かな高台に立つ横浜市大倉山記念館=横浜市港北区大倉山

静かな高台に立つ横浜市大倉山記念館=横浜市港北区大倉山

 古代ギリシャの建築様式などで横浜市民に親しまれている市の文化施設「大倉山記念館」(同市港北区)の二つの指定管理者が争った民事訴訟の判決が、このほど横浜地裁(三代川俊一郎裁判長)で言い渡された。指定管理者同士が訴訟となるのは異例。判決も、被告の背任行為を認めた上で、指定管理者業務の在り方などに言及する異例のものとなった。指定管理者制度に詳しい識者は「民事訴訟で争われたことで(結果的に)制度のさまざまな機能不全が露呈した形だ」と指摘している。

 訴えは、同記念館の指定管理者の特定非営利活動法人(NPO法人)「大倉山水曜コンサート」(横浜市、岡幹絵理事長)が、同じく指定管理者で代表団体のNPO法人「アートネットワーク・ジャパン(ANJ)」(東京都豊島区、市村作知雄会長)が不当に人件費を減額したなどとして、ANJに代表権がないことの確認などを求めたもの。

 判決は「ANJが代表の地位を利用して原告に虚偽の人件費総額を告げた上で、ANJの人件費配分を多くしたのは明らか。重大な義務違反に当たる」などとして、ANJの代表権を否定。「両団体が今後円滑に指定管理業務を共同して実施していくことは期待し難い。市を含めて協議し、指定取り消しも視野に、今後の指定管理業務の在り方を再検討することが望まれる」と異例の付言を加えた。

 さらに、指定管理者選定の経緯についても「原告に無理解な管理者が指定されることを心配して(原告が)市の担当者に相談したところ、原告自身が指定管理者に応募することを勧められるとともに、管理業務に経験のある企業などと共同で応募すれば良いとのアドバイスを受けた」と指摘した。

 判決を受け、原告の岡代表は「主張が認められてよかった」としながらも「当初、市にANJへの是正指導をお願いしたが『内部の問題は内部で解決してほしい』と言われ、提訴するしかなくなった。市の責任は大きい」と市の対応を批判。ANJの市村会長は「単純な事務的ミスで、判決の認定はおかしい」とコメント。原告、被告双方が控訴した。

 指定管理者制度に詳しい、NPO法人参加型システム研究所の奥津茂樹理事は、判決が管理者選定の不可解なアドバイスなどを認定したことについて、「同館の指定管理者選定で、競り負けた団体もいる。指定管理者制度の趣旨に反する行為で、制度の根本が問われる問題」と指摘。さらに「判決には、施設の私物化への疑念がうかがえる。払拭(ふっしょく)するためにも、速やかに事実関係を調査し公表するのが市の責務」と話す。

 横浜市の市民活力推進局文化振興課は「応募は勧めたが、どこと組めとは言っていない。結果として彼らが合格しただけ」と選考過程に問題はなかったと強調。判決については、「適宜必要な指導はしてきた」とした上で「利用者に迷惑が掛かっているわけではない。判決が確定していないので、現在は推移を見守っている」としている。



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