田部友佳さん(仮名)の娘・美雪ちゃん(1歳・仮名)は水頭症で手足のむくみと麻痺、歩行が不十分で生まれて来た。妊婦健診ではまったく異常がなかったが、妊娠9か月で胎児の脳室が通常の2倍に拡大し、友佳さんの血液検査でトキソプラズマの感染が発覚した。
「いったいなぜと思いました。原因は妊娠4か月のときに焼肉でユッケやレバ刺しを食べ、2週間後にリンパ節が腫れた事でした。あの生肉さえ食べなかったら」と友佳さんは悔やみ、生肉に潜むトキソプラズマの警告をブログで訴えている。
2児の母親、松岡康子記者(生活情報部)は、「あまり知られていませんが、妊娠中にレアステーキ、生ハムなどの生肉を食べると、胎児の脳などに異常が出る危険があります。原因は生肉内にいる『トキソプラズマ』という寄生虫です」と報告した。
トキソプラズマは数ミクロンの原生生物で人体の脳や筋肉に入り込むが、健康体の大人はほとんど発病せず、世界人口の3分の1が感染していると見られている。ただ、胎児が母親の血液を通して感染すると、ケースは少ないが、頭蓋骨の形成異常、水痘症、大頭症などを起こすこともある。感染ルートは生肉と終宿主のネコの糞尿だ。
三井記念病院の小島俊行医師によると、「万が一感染が胎児に移っても、危険を7分の1に減らす薬があります。検査は簡単ですが、検査を行っている病院が全国で半数(55%・厚労省調べ)しかない」
トキソプラズマの危険は妊娠中に初めての感染した母親だけで、すでに感染している人は抗体ができているので、胎児への影響はないそうだ。ユッケやレバ刺しなどの生肉を避け、ステーキもよく焼けば心配はないのだが、肉を調理したまな板や包丁を洗わず、そのままサラダなどを調理するのも危ないだろう。
また、ネコの糞尿からも感染するということで、妊娠中のガーデニングや土いじり、子供の砂場などでは手袋をして、手洗いを徹底することもお忘れなく。
(磯G)
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