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ES細胞で難病ALSの状況を初めて再現
5月10日 7時56分

ES細胞で難病ALSの状況を初めて再現
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体のあらゆる組織や臓器になるとされるヒトのES細胞に、全身の筋肉が動かなくなる「ALS=筋萎縮性側索硬化症」を引き起こす遺伝子を組み込み、病気で細胞が死んでいく様子を再現することに、京都大学の研究グループが世界で初めて成功しました。
病気のメカニズムの解明や治療薬の開発につながる成果として注目されています。

研究をしたのは、京都大学「物質-細胞統合システム拠点」の中辻憲夫拠点長のグループです。
ALSは、運動神経の細胞が破壊され、全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病で、このうち2%は「SOD1」と呼ばれる遺伝子の異常が原因で発症します。
研究グループによりますと、ヒトのES細胞に異常な「SOD1」を組み込んで運動神経の細胞を作り出したところ、病気を発症したときと同じように細胞が死んでいくのを確認できたということです。また、ES細胞を培養して、ALSの病状の悪化に関わるとされる「アストロサイト」という細胞を作ったあと、その培養液を運動神経の細胞に加えることでも細胞が死ぬのを確認できました。
ヒトのES細胞から、病気の運動神経の細胞と「アストロサイト」の両方を作り出し、病気で細胞が死んでいく様子を再現できたのは世界で初めてだということです。中辻教授は、「病気の神経細胞を大量に作り出し、研究すれば細胞が死滅する仕組みの解明や治療薬の開発が期待できる」と話しています。

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