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ツバメが減少 生息状況を全国調査
5月10日 18時0分

ツバメが減少 生息状況を全国調査
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日本人に身近な渡り鳥として知られるツバメ。
このツバメが生息環境の変化などから日本各地で減る傾向にあるとして、日本野鳥の会は10日から始まった愛鳥週間に合わせて、生息状況の全国調査を初めて行うことになりました。

ツバメは東南アジアなどで越冬し、日本には春先になると主に九州より北の地域に夏鳥として渡ってきて子育てを行います。
人の出入りの多い住宅や店舗の玄関や軒先などに巣作りをすることや、水田などの害虫を食べることから益鳥としても昔から人になじみの深い鳥として知られています。
ところが、日本野鳥の会によりますと、ここ数年、「ツバメが減っている」という声が各地から数多く寄せられているということです。
全国で唯一、県内全域でツバメの数を長年調べている石川県では、40年前と比べて3分の1まで減っているという調査結果もあります。
主な原因について、野鳥の会では、農地が減ったことでツバメが巣作りに使う泥や餌となる虫が減ったこと、巣作りに適している軒のあるような日本家屋が減ったうえ最近の建物の壁には泥がつきにくい加工が施されていること、それに人の生活環境の変化もあって天敵となるカラスが増えたことなどを挙げています。
これを受けて、野鳥の会はツバメの生育状況や減っている原因を調べるため10日から始まった愛鳥週間に合わせて、初めて全国調査を行うことになりました。
一般の人に広く呼びかけて、ツバメの目撃情報や周辺の環境の変化について情報を募るほか、野鳥の会の会員などによるツバメの生息状況の実態調査なども行う方針で、野鳥の会のホームページにアクセスすれば誰でも参加できます。
日本野鳥の会の篠木秀紀さんは「ツバメは農地で害虫を食べるなど、私たちの生活にとって大切な鳥です。古くから人間にとって最も身近で貴重な鳥が減っているということを、多くの人が一度考えてみるきっかけにしてほしいです」と話しています。
日本野鳥の会のホームページは、http://www.wbsj.orgです。

石川県では大規模調査

石川県では、県内のすべての公立小学校が参加して子どもたちがツバメの生息数などを確認する大規模な調査が始まりました。
石川県は全国の都道府県で唯一、ツバメの生息状況の調査を40年前から毎年行っており、ことしも県内のすべての公立小学校224校の児童が参加して10日から始まりました。
このうち津幡町の町立太白台小学校では、6年生の児童およそ60人がグループに分かれて自分たちの住む地域を歩いて調査しました。
子どもたちは、住宅や納屋の軒下をのぞき込んだり、住民に話を聞いたりしながら、ツバメの巣の数や目撃したツバメの数を調査用紙に書き込んでいました。
石川県によりますと、ツバメの成鳥の数は調査を始めた昭和47年には3万3332羽が確認されましたが、去年確認された数は1万1708羽とおよそ3分の1に減っているということです。
石川県では、田んぼの減少に伴い、餌になる虫や巣の材料になる泥のある場所が減っていることや、巣を作りやすい軒先のある木造住宅が減っていることなどが生息数の減少の要因と分析しています。
ツバメの生息状況に詳しい日本野鳥の会石川の平野賢次幹事は「ツバメの減少は自然環境が破壊されていることの表れであり、私たちが環境を保全していくことが大切だ」と話しています。
この調査は、愛鳥週間が終わる今月16日まで石川県内の各地で行われ、8月ごろに結果がまとめられることになっています。

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