富士山麓から直下 活断層の可能性5月10日 19時2分
火山の噴出物に覆われた富士山の南東側の山麓から山の直下にかけて、活断層がある可能性が高いことが東京大学の研究グループの調査で分かりました。
研究グループは、大地震が起きた場合、強い揺れや土砂災害などで大きな被害が出るおそれがあると指摘しています。
東京大学地震研究所の佐藤比呂志教授の研究グループは、全国の活断層を調べる国の重点調査の一環として、人工的に震動を起こす車両や地震計を使って富士山周辺の地下の構造を調査してきました。
その結果、富士山の南東側の静岡県御殿場市付近から富士山の直下にかけての地下深くの地層に、地震でできたとみられる断層が見つかり、研究グループは過去に繰り返し地震が起きていた活断層の可能性が高いとみています。
地表近くでの断層は静岡県小山町から御殿場市にかけて北東から南西に延び、長さはおよそ30キロで、マグニチュード7以上の大地震が起きる可能性があるということです。
また、すぐ東側には、「神縄・国府津-松田断層帯」という別の活断層が延びていて、今回の断層がつながっている可能性もあるとみられています。
今回、断層が見つかった富士山の山麓は、過去の火山噴火による噴出物に覆われています。
佐藤教授は「この活断層で地震が起きれば、最悪の場合、4年前の岩手・宮城内陸地震で起きたような大規模な斜面の崩壊が起き、大きな被害が出るおそれもある。過去にいつ地震が起きたのかなど分かっていないことが多いため、解明を進めていく必要がある」と話しています。
静岡県“全体像解き明かされる必要”
静岡県によりますと、富士山の静岡県側の山麓に活断層がある可能性が高いことが分かったと、東京大学地震研究所の佐藤比呂志教授から9日、連絡があったということです。
これについて、静岡県の危機管理部岩田孝仁危機報道監は「どれだけ深刻な被害をもたらす可能性があるのか、今の段階では分からず、より詳しく富士山の地下の全体像が解き明かされる必要があると考えている。今後、必要があれば防災対策を検討していきたい」と話しています。
富士山周辺の活断層
富士山周辺の地域は、「フィリピン海プレート」と呼ばれる海側の岩盤が、陸側の岩盤の下に南から沈み込んでいる影響で、過去に繰り返し地震が発生し、全国の中でも地震の危険性が高いとされる活断層が集まっています。
このうち、静岡県富士宮市から駿河湾の海底に延びる「富士川河口断層帯」と呼ばれる活断層は、政府の地震調査委員会が「最大でマグニチュード8程度の地震のおそれがあり、東海地震と連動して地震が起きる可能性もある」という検討結果を公表しています。
また、静岡と神奈川の県境から相模湾沿岸にかけて延びる「神縄・国府津ー松田断層帯」は、最大でマグニチュード7.5程度の地震が起きるおそれがあるとされています。
今回、断層が見つかった富士山の南東側の山麓は、最大で厚さ50メートルにも及ぶ火山の噴出物に覆われて、地下の構造がこれまで詳しく分かっていませんでした。
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