'12/5/10
雇用助成金不正は広島が突出
広島労働局が2011年度に摘発した国の中小企業緊急雇用安定助成金の不正受給は、広島県内で31件、計3億5700万円に上った。暴力団組員が関与する詐欺事件などもあった。中国地方の他の4県で摘発は岡山の1件だけで、広島が突出している。広島労働局は「厳しい取り締まりの姿勢を示したことで、不正を知る関係者からの情報提供が増えた」としている。
「リーマン・ショック」を受け08年12月から始まった同助成金は、業績悪化に陥った中小企業の雇用維持が狙い。従業員を休ませた場合、本来は企業が支払うべき休業手当の8割を国が支給し職業訓練の後押しもする。
広島県内の11年度の摘発件数と額は、ともに10年度に比べ約5倍に増えた。広島労働局によると、08〜09年度は不正受給の摘発はなかったが、10年度は6件、計7340万円と急増。全国も同年度は355件、計37億1千万円に達した。
広島労働局によると不正の手口の約3分の2は従業員の出勤簿改ざん。実際は勤務したのに二重帳簿で休業させたかのように装っていたという。実態のない職業訓練を報告するケースも相次いだ。
広島労働局は広島県警と連携も強化。昨年1月、架空の会社をつくり1億2750万円をだまし取ったとして防水工事会社社長を、同8月には土木建設会社の従業員雇用を装い助成金を不正受給したとして暴力団組員たち2人をいずれも告発。詐欺事件に発展した。
他の中国地方4県で11年度に不正摘発があったのは、岡山の1件(4890万円)だけ。山口は09〜10年度に2件(計2940万円)、島根は10年度に3件(計1032万円)、鳥取はこれまで摘発がない。