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横田夫妻がすべてを語った「政治家に利用されてきた」

週刊朝日 2012年05月18日号配信掲載) 2012年5月9日(水)配信

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夫妻の最新著のタイトルは『めぐみへの遺言』。「このままでは忘れ去られてしまう」と覚悟を込めたという [拡大]

「選挙の宣伝写真にするのでしょうが、そういう撮影会はものすごく嫌なんです。情けなくて」

 でも、「写真を断ったら娘をよろしくと言えない」と自分に言い聞かせ、撮影に応じてきた。もちろん、政治家への批判は控えてきた。しかし、その心境に変化が起きている。

 早紀江さんは、

「安倍晋三さんが総理になったときは、それはもう期待しました。期待しすぎるくらいに。家族会のみんなが拍手を送って『安倍さんが何とかしてくれる、すごい光が差し込んだ』と」

 と振り返る。が、安倍氏は約1年で首相を辞任した。

「病気だったから仕方ないけれど、辞任を聞いて、グサッと刃物で刺されて傷つけられた気になった。少し腹が立ちました。期待が大きかった反動かもしれません」(早紀江さん)

 今年は、「めぐみさん失踪から35年」でもある。その歳月を、幾度も期待し失望しながら夫妻は過ごしてきた。

 早紀江さんは、

「国は、もう少し時間がたてば、私たちがみな年をとって身動きできなくなって、拉致など忘れられると考えているのではないかとさえ思ってしまう」

 と打ち明ける一方で、希望を失うまいともする。

「一つひとつの積み重ねで、めぐみのことも細かいことまでわかった。いなくなったとき持っていたバドミントンラケットとか、連れていかれたばかりのころの写真とか、元気な孫のヘギョン(ウンギョン)ちゃんとか出てきた。動いて動いて、いろいろなことをお願いしたのが重なってそこまで来たのだから、活動が意味ないものとは思っていないです」

 拉致問題を追い続ける元朝日放送プロデューサーの石高健次さん(61)は、元北朝鮮工作員の証言から1997年1月にめぐみさん拉致を突き止め、横田さん夫妻に伝えた人物だ。夫妻の思いを今回、本にまとめた。石高さんは言う。

「2人は国や政治家をほとんど批判してこなかった。彼らに頼るしかないからです。しかし、ここまで待たされて、そんなきれいごとではすまない。残された時間は少なく、光がどこにも見えない中、思いの丈をぶちまけてほしいと促したんです」

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