無断遅刻を繰り返した社員を懲戒解雇して敗訴した
入社後1年5ヶ月の間に180回に及ぶ無断遅刻をした社員を懲戒解雇しました。
経営者からみると懲戒解雇は当然過ぎる処分でしょうが、裁判で会社は敗訴しました。信じられないでしょうが。
問題点は二つあります。
一つは180回も繰り返しながら会社は懲戒処分を一度もしていなかったことです。
二つ目はいきなり懲戒解雇にしたことです。
経営者が当然だと思うことがいざとなったら通用しない事例です。
「けしからん社員」とは
無断遅刻をする。無断欠勤をする。指示に従わないで作業ミスをして納期遅れになる。交通事故を繰り返す。タイムカードを不正打刻する。定期健康診断を受診しない。上司が部下に適切に業務指示をしない。会社の備品を窃盗する。社内不倫をする。インターネットで会社の中傷をする。会社の機密情報を漏洩する。個人情報を漏洩する。刑事事件を起こす。セクハラをする。パワハラをする。権利ばかり主張し、まともに義務を果たさない。配置転換を拒否する。勤務成績不良。
などなど例を挙げればキリがありません。
「けしからん社員」へは厳しい態度で臨む
労務管理の基本は、まじめな社員がバカバカしくならないことです。
無断遅刻、無断欠勤をした「けしからん社員」に対して何の懲戒処分もしないと、まじめな社員がバカバカしくなります。
会社の甘い姿勢は「けしからん社員」にとっては居心地が良いものです。
次第に秩序が崩れて行きます。
「けしからん社員」をビシッと処分をすべきです。
「けしからん社員」を懲戒するには就業規則に明記が必要
懲戒処分をするには、就業規則に該当する行動が明記されていなければなりません。
そのためにはありとあらゆる可能性を列挙することがコツです。
従来のありきたりの就業規則では「けしからん社員」を懲戒処分できないおそれがあります。
ムリヤリ懲戒処分をすると敗訴するでしょう。
懲戒処分をする前に弁明の機会をあたえなければならない
懲戒処分ができることは事業主の権利ですが、安易に権利を行使すると権利の乱用となります。
懲戒処分をするためには弁明の機会を与えなければなりません。
具体的には懲戒委員会を開催して「けしからん社員」の懲戒処分を協議します。
その時に本人に弁明の機会を与えるのです。
始末書を提出させる
懲戒処分をする場合、証拠として残る始末書を提出させるのがコツです。
始末書は具体的で再犯できないような書き方が望ましいです。
単なる反省文では実効性がありません。
始末書の提出を求めてもそれに応じない「困った社員」にもビシッとした対応をすべきです。
- 「けしからん社員」とは
- 「けしからん社員」を懲戒処分できる就業規則の作り方
- 「けしからん社員」は幹部に責任がある
- 始末書の悪い見本、良い見本
- 不良品を作った場合の始末書の書かせ方
- 遅刻をした場合の始末書の書かせ方
- セクハラをした場合の始末書の書かせ方
- 横領した場合の始末書の書かせ方
- 詐欺に引っかかった場合の始末書の書かせ方
- 備品損傷の場合の始末書の書かせ方
- 上司の指導力不足による場合の始末書の書かせ方
- 違法とならないための減給のしかた
- 損害の弁償と減給処分の関係
- 懲戒処分をするには弁明の機会を与えなければならない
- 懲戒委員会の構成
- 懲戒委員会の進め方
- 懲戒処分の4原則
- 懲戒委員会規程の作り方