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小沢元代表を控訴 裁判は続行

 民主党の小沢一郎元代表(69)が政治資金規正法違反で強制起訴された「陸山会」事件で無罪判決を受けたことについて、検察官役の指定弁護士3人は9日、判決を不服として東京高裁に控訴した。「けさまで悩んだ」と苦渋の選択だったことを明かす一方で、「控訴審の裁判官を説得できる相当程度の自信がある」と、“逆転有罪”に自信を示した。政治的圧力は否定した。一方、小沢氏は「理解に苦しむ」とコメントを発表。党員資格は今日10日に戻るが、国会議員と被告という「グレー」な立場での活動を余儀なくされる。

 「1審判決に看過しがたい事実誤認があった。論理的におかしな点が多く、修正可能と判断した」。主任格の大室俊三弁護士(62)は会見で、こう話した。「事件の実態を一番理解しているのは被告人と証人で、その次に知るのが指定弁護士。職責を果たすことが控訴だと思った」。元秘書らの検察官調書が証拠採用されず、苦しい立場で下った無罪判決。覆す自信を問われると「5割では足りない。相当程度」。大室氏は、根拠を「論理と証拠」としか明かさなかった。

 もっとも、心情的には葛藤もあったようだ。山本健一弁護士(48)は「1審判決を覆すだけの有罪立証ができるか考えた。裁判を無用に長引かせるわけにもいかない。正直、けさまで悩んだ」。大室氏も「納得できない部分も受け入れる余地はないか悩み抜いた」という。

 裁判の過程で、起訴議決に影響を与えた捜査報告書が虚偽だったことが判明し、裁判自体の正当性を問う声も強い。さらに、裁判が続けば、捜査報告書問題が蒸し返され、検察のダメージが広がる恐れもある。小沢氏という大物を控訴する政治的影響も避けられないが、大室氏は「慎重に判断し、その結果を踏まえても控訴の結論になった」。政治的な圧力もないと否定した。

 無罪判決後、3人で2回会い、数時間協議。大室氏は「ベストの選択」と話した。判決後、電話や手紙などが約100件寄せられ、控訴に賛成と反対は「半々」だったという。

 今回の無罪判決は、結論はシロでも、秘書からの報告・了承を認め、指定弁護士の顔も立てる「絶妙の判決」(捜査幹部)といわれた。指定弁護士が逆転有罪を得るには、1審の事実認定がよほど不合理な場合に限られ、焦点となる共謀立証のハードルもより高い。

 大室氏は1審で839時間、山本氏は約600時間を費やした。指定弁護士の報酬は1審、2審ごとに上限120万円とされ、大室氏の場合、時給換算で約1430円。精神的な負担を考えると割に合わないといわれる。大室氏は、精神的負担を問われると「何も考えずに頑張る、としか言えない」と、強調した。

 [2012年5月10日9時10分 紙面から]







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