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2012年5月10日(木)付

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東電事業計画―行き詰まりは必至だ

東京電力の一時国有化が決まった。下河辺和彦・新会長に続き、新社長に広瀬直己常務が昇格する人事も固まり、6月の株主総会後に新体制が発足する。だが、9日に認められた総合特別[記事全文]

民主党の責任―「小沢案」で政治浄化を

民主党が、無罪判決を受けた小沢一郎元代表の党員資格停止処分を10日付で解除する。いかにも、民主党らしい対応ではないか。やるべきことと、実際にやることが違うのだ。[記事全文]

東電事業計画―行き詰まりは必至だ

 東京電力の一時国有化が決まった。下河辺和彦・新会長に続き、新社長に広瀬直己常務が昇格する人事も固まり、6月の株主総会後に新体制が発足する。

 だが、9日に認められた総合特別事業計画は問題だらけだ。

 目標にする2014年3月期の黒字回復は、料金値上げと新潟県・柏崎刈羽原発の再稼働が前提で、早くも実現が危ぶまれている。

 しかも、福島第一原発の廃炉と除染にかかる費用について、政府による新たな資金支援の枠組みの検討が盛り込まれた。

 被害者への賠償とは別に、兆円単位となる廃炉・除染の費用を自力で捻出することは困難との判断からだ。更生を言いながら、最初から白旗を掲げているようなものである。

 私たちも、東電だけで事故処理に対応するのは限界があると考える。原子力を推進してきた国の責任という点からも、最終的な国民負担を覚悟すべきだと指摘してきた。

 だが、それは東電をきちんと破綻(はたん)処理し、株主や貸手の金融機関にも相応の責任を負わせたうえでの話だ。いまのまま追加の国費投入を検討しても、国民の理解は得られない。

 行き詰まりはみえている。野田政権は、新たな処理の枠組みづくりに早く乗り出すべきだ。

 もちろん、公的管理下の東電自身にやるべきことは山ほどある。急ぐ必要があるのは電力の安定供給体制の確立だ。

 福島第一原発は4基の廃炉が決まった。残りの2基を動かすのも実際には不可能だ。福島第二原発の稼働も、福島県が反対しており見通しは立たない。

 今は古い火力発電所を無理に動かし、非常用電源をかき集めてまかなっているが、原発の代わりとなる本格的な発電所の整備が待ったなしだ。

 とはいえ、東電には余力がない。このため事業計画では、火力部門を分社化して、新電力やファンドなどと、発電所の共同開発や共同運営をしやすくする改革案を示している。

 将来的な電力自由化をにらめば、現在の電力会社にこだわらず、さまざまな企業が発電事業を手がけるのが望ましい。

 一方で当面の電力確保には、発電所用地など東電の資産を活用するほうがいいのも確かだ。

 低コストで高効率の発電所を早くつくる。東電は自前主義を捨て、入札制度なども利用してパートナーを探し、電力供給に努める責任がある。

 それを、電力会社を消費者が選べる将来の電力市場への道筋につないでゆくべきである。

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民主党の責任―「小沢案」で政治浄化を

 民主党が、無罪判決を受けた小沢一郎元代表の党員資格停止処分を10日付で解除する。

 いかにも、民主党らしい対応ではないか。やるべきことと、実際にやることが違うのだ。

 国会では、ようやく消費増税など重要法案の審議が始まる。いまは挙党一致が最優先だ、と輿石東幹事長はいう。

 そうだとしても、小沢氏は国会、国民への説明責任を果たしていない。なぜ、野田首相はそれを黙認するのか。

 小沢氏の裁判は控訴され、さらに続く。それでも処分を解く民主党の責任は、いっそう重くなったと言わざるをえない。

 法案審議とともに、なすべき仕事が民主党にはある。

 小沢氏自身と民主党が掲げてきた政治とカネの浄化に、具体的な成果を出すことだ。

 第一に、小沢氏の裁判で改めてわかった政治資金規正法の不備をただす。

 小沢氏は法廷で、収支報告書はすべて秘書任せで自分は見たことがないと言い切った。

 それで4億円もの巨額の資金を動かしていたという。こんな浮世離れした主張が、なぜ通るのか。それは規正法が政治家本人ではなく、会計責任者に一義的な責任を負わせるからだ。

 どう改革すべきか。処方箋(せん)はすでにある。公明党は、政治家が監督責任を怠れば公民権停止処分を科す改正案を国会に提出している。小沢氏も93年の著書「日本改造計画」で連座制の強化を訴えている。

 第二に、カネの流れを見えやすくするために、政治家の政治資金団体を一本化する。

 その重要性と効果を、小沢氏は著書でこう強調していた。

 「公私の区別のはっきりしないドンブリ勘定も、政策決定などに絡んだカネのやりとりもできなくなる」

 第三に、パーティー券の購入を含む企業・団体献金の全面禁止である。民主党が政権交代を果たした09年総選挙のマニフェストに掲げていた。

 これも小沢氏が言い出したことだ。総選挙前、ゼネコンからの違法献金事件で自分の公設秘書が逮捕された後に、みずから提案したではないか。

 民主党は当時、国会に法案も出した。しかし、与党になった途端に知らん顔である。

 自民党も、政治とカネの透明化には後ろ向きだ。それをいいことに、見て見ぬふりでやり過ごすなら、民主党も小沢氏も不誠実の極みだ。

 この際、政権党として「小沢案」での政治浄化を断行してみせてはくれないものか。

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