民間初、高さ規制緩和案 島津製三条工場で京都市
京都市中京区の精密機器メーカー、島津製作所が施設の集約化を計画している三条工場(西ノ京桑原町地区)で、市が一部敷地の高さ規制を現行20メートルから31メートルに引き上げる地区計画の原案を作成したことが1日、分かった。市の新景観政策導入後、地区計画制度を活用して民間企業に高さ規制を緩和するケースは初めて。早ければ今夏にも開催する市都市計画審議会に諮る。
市が地区計画の策定を目指すのは、御池通―三条通、佐井通―西小路通に囲まれた工業地域約10ヘクタール。2009年に導入した市の新景観政策では20メートル高度地区になっている。
市によると、同社は同地区を「ものづくりの集積拠点」と位置づけ、現在の顧客対応施設1棟と研究・開発・工場の施設2棟を将来的に1施設に集約化する構想を立て、市に新景観政策の適用除外となる地区計画の活用を求めていた。
市は構想に対し、「ものづくりの機能強化が図れ、周囲と調和した良好な環境形成につながる」と判断。地区計画で集約施設の建設予定地約0・9ヘクタールについて高さ規制を31メートルまで引き上げ、予定地以外は従来通り20メートルの高さ規制を維持する方針を決めた。地区計画を活用した高さ規制の緩和は京都会館(左京区)に続いて2例目になる。
地区計画ではこのほか、敷地内の用途を工場立地に限るとともに、周囲の景観に配慮して建築物の外壁の色彩を限定し、敷地境界線から建築物壁面までの距離を5メートル以上確保するよう規制も強める。
隣接する佐井通の歩道拡幅のため敷地の一部を充てるほか、災害時に周辺住民の避難場所として活用できる緑地や広場も敷地内に整備する方針。
【 2012年05月02日 10時40分 】