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'12/5/8

飛鳥時代の寺院模型を製作



 庄原市宮内町の元大工矢崎重信さん(78)が、飛鳥時代に同町内にあったとされる神福寺の模型を作った。長く郷土史研究をしている同町の野村弘美さん(80)が解説文を書いた。模型は、7日から16日まで庄原郵便局に展示。平日のみ観賞できる。

 野村さんによると、江戸時代後期に著された「芸藩通志」に、神福寺は668年創建との記載があるという。しかし寺は16世紀に戦乱で消失。具体的な資料はないとされる。野村さんと矢崎さんは「神福寺と同時期に造られた三次市の三谷寺と似た形状」と推測。県立歴史博物館(福山市)で確認した同寺の復元図を参考に、矢崎さんが図面を引いて模型を製作した。

 縦80センチ、横90センチの台上に三重の塔や講堂、回廊などを並べた。約80分の1のスケール。材料は堅くて傷が付きにくい杉を使った。矢崎さんは2月の初めから一日も休まず毎日約8時間作業し、約40日で完成させた。「宮大工になりたかったので作業が楽しかった」と振り返る。

 元小学校教諭の野村さんは郷土史研究を50年近く続け、2009年に宮内町近郊の史跡を紹介した冊子を発行するほど。矢崎さん作の神福寺を見て「建物配置のバランスも取れ、よくできている」と感心する。

 2人は「かつてこの地域に素晴らしい建造物があったことを多くの人に知ってもらいたい」と語り合っている。

【写真説明】神福寺の模型を見つめる矢崎さん(右)と野村さん




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