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レーダーの装置全体は、大枠4つのユニットで構成されています。
今日のレーダーは通常これらのユニットがそれぞれアンテナ部と指示部の2つにまとめられているものが主流です。 |
”目”としての役割、レーダーのアンテナ
レーダー用のアンテナは、電波を発射したり、反射して返ってきた微弱な信号を受信するためのユニットです。アンテナで重要なことは、物標の方位を正確に把握するために、一定方向へ集中して電波を発射する必要があるということです、つまり電波の指向特性が重要になってくるのです。
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上のアンテナはスロット型アンテナと言われるもの。
送受信部で作られたマイクロ波は導波管を伝ってアンテナまで送り込まれ、アンテナ内部の導波管にある切り込み(スロット)部分から発射されます。
このスロットはアンテナ内部の導波管前面に設けられており、スロットの位置は半波長間隔で傾斜しています。また、スロットの角度はすべて微妙に異なっています。これらのスロットから発射された電波が空中で合成されることにより、一定方向にシャープな指向角を持った電波が送信されるという仕組みになっています。
このスロットの数により水平方位特性が変わってきます。つまり長いアンテナにすることによりスロット数も多くなり、より優れた水平方位特性が得られるという特徴があります。 |
マイクロ波について
レーダーに使うマイクロ波は波長が極めて短いために、光のように直進すると考えてよいでしょう。30MHz以下の電波のように電離層によって反射することもないので、直視距離内での伝搬と見てよいのです。ただ光のように雲や霧などに吸収されたり、減衰したりすることが少ないので、航海用レーダーには最適な周波数帯だといえます。
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帯域
(GHz) |
名称 |
用途 |
0.2〜0.25 |
Gバンド |
軍用航空無線 |
0.25〜0.5 |
Pバンド |
移動体通信 |
0.5〜1.5 |
Lバンド |
テレビ放送・携帯電話・インマルサット衛星電話 |
2〜4 |
Sバンド |
固定無線・移動体向けデジタル衛星放送・ISMバ
ンド(電子レンジ・無線LAN・アチュア無線など) |
4〜8 |
Cバンド |
通信衛星・固定無線・無線アクセス |
8〜12 |
Xバンド |
軍事通信・気象衛星・地球観測衛星 |
12〜18 |
Kuバンド |
衛星テレビ放送・通信衛星 |
18〜26 |
Kバンド |
通信衛星 |
26〜40 |
Kaバンド |
通信衛星 |
40〜75 |
Vバンド |
レーダー・通信衛星 |
75〜111 |
Wバンド |
電波天文学 |
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舶用レーダーには主に2つの周波数帯が使用されています。3,000MHz帯を使用するSバンド、9,000MHz帯を使用するXバンドです。Xバンドの波長は短いのですが、波長が短いほど電波の直進性が強く、指向性のある電波を発射できるとともに、物標からの反射波をとらえやすくなります。 |
また波長が短いほど利得の大きい、効率のよいアンテナを作ることができるのです。もちろんアンテナそのものや導波管の太さなど、全てのユニットが小さくてすむので経済的であり、小型化、軽量化が容易です。
このように、Xバンドレーダーは多くの活用メリットを持っています。
しかし、Sバンドレーダーなどは波長が長いことや、電波の減衰が少ない上に、より遠くの物標を捕らえるのに都合がよく、また海面反射が少ないのも特長であり、用途や目的によっては、Xバンドレーダーと併設して使用します。我々がもっともよく使用するのはXバンドレーダーであり、この電波の波長はわずか3cmです。Sバンドでは10cmになります。 |
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