社説:元代表裁判控訴 市民感覚踏まえた判断

毎日新聞 2012年05月10日 02時30分

 東京高裁で改めて審理されることになった。民主党元代表の小沢一郎被告の資金管理団体「陸山会」をめぐる政治資金規正法違反事件だ。

 東京地裁は先月26日、元代表に無罪を言い渡した。指定弁護士はこれを不服として控訴し、会見で「看過しがたい事実誤認があり、指定弁護士の職責を果たすのは控訴することと判断した」と理由を述べた。市民からなる検察審査会は、法廷という公開の場で刑事責任を明らかにすることを望み強制起訴を決めた。その意思もくんだということだろう。

 地裁判決は、衆院議員、石川知裕被告ら元秘書3人による政治資金収支報告書の虚偽記載を認定した。元代表が自ら提供した4億円の簿外処理について報告を受け、了承していたことも認めた。ただし、元代表に違法な記載との認識がなかった可能性があるとして無罪の結論を導いた。指定弁護士の立証をかなり認めた内容であることは間違いない。

 それでも、検察が2度までも不起訴とし、無罪になった事件だ。虚偽の内容を記した捜査報告書の作成問題など検察の不手際も重なった。控訴審での新たな証拠提出も難しい。とすれば、「これ以上元代表を被告の立場におくべきではない」という意見も故なしとしない。

 ただし、裁判は3審制だ。判決内容を徹底分析し「修正可能」と3人一致で決断した以上、第三者が横やりを入れるべきではない。高裁で粛々と審理を進めてもらいたい。

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