2012.5.10 05:03

「小沢氏無罪」で指定弁護士が控訴

秘書の運転する車で個人事務所を出る小沢一郎元民主党代表。よもやの控訴にブ然!? =9日午後、東京都港区

秘書の運転する車で個人事務所を出る小沢一郎元民主党代表。よもやの控訴にブ然!? =9日午後、東京都港区【拡大】

 資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で、政治資金規正法違反(虚偽記載)罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)を無罪とした1審東京地裁判決について、検察官役の指定弁護士側は9日、「判決には看過しがたい事実誤認がある。控訴審で判決を覆す相当程度の自信がある」として、東京高裁に控訴した。小沢被告の無罪は確定せず、高裁で審理が続くことになる。

 主任格の大室俊三弁護士(62)は同日会見し、「判決は十分に修正可能だと考えた」と控訴理由を説明した。

 1審は元秘書による虚偽記載を認定し、小沢被告と元秘書の間に政治資金収支報告書の記載をめぐる「報告・了承」があったことも認めた。だが、小沢被告が「虚偽記載にあたると認識していなかった可能性があり、故意の立証が不十分」として元秘書との共謀は認めず、禁錮3年の求刑に対して無罪を言い渡した。

 このため、指定弁護士側は「こちらの主張の大部分を認めながら、結論は無罪とした判決の論理には、納得できない」として、控訴を検討。被告人の立場が長引く小沢被告の負担を考慮しても、控訴審で判断を仰ぐべきだと結論づけた。控訴審では被告に出廷義務はない。強制起訴事件の判決は小沢被告が2件目。1件目も無罪判決に対して指定弁護士側が控訴している。

 控訴審の立証は、よりハードルが高くなるが、大室弁護士は「既存の証拠でも1審判決の誤りは十分指摘できる」として、補充捜査をする意向を示した。

 一方の小沢被告はこの決定に「先日の無罪判決の内容を見る限り、控訴審でこれが覆ることは想定しにくく、指定弁護士が控訴したことは理解に苦しむ。弁護団と協議した上、万全の対応を取りたい」などとするコメントを発表した。

(紙面から)