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東電、家庭向け平均10.28%値上げ 7月から
政府、総合計画を認定

2012/5/9 20:33 (2012/5/9 23:37更新)
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 枝野幸男経済産業相は9日、東京電力の新たな経営体制の全体像などを示した総合特別事業計画(総合計画)を認定した。計画では国が1兆円の公的資金を投入するとともに、議決権の過半を握り実質国有化する方針を明記。家庭向け電気料金の平均10.28%引き上げなどを収益改善策の柱とする。経営難に陥った東電の再建が本格的に動き出す。

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 電気料金は今年度から3年間にわたり上げる案を示した。東電によると、標準的な使用量を想定した家庭で月480円(6.9%)値上げし、月額7453円となる。使用量が多いほど値上げ幅は大きくなる。

 東電は週内にも申請し、公聴会などを経て政府が認可する。7月の実施を目指すが、値上げには強い反発も予想される。東電の計画通りに進むかは不透明だ。

 新しい料金体系は、使用量が少ないほど単価の引き上げ幅を抑制する。使用量が最も少ない「第1段階料金」の上げ幅は1キロワット時あたり0.74円に抑える一方で、第2段階は2.3円、第3段階は4.89円とし、照明や冷蔵庫など生活に不可欠な電気料金は安くなるようにした。夏季の昼間の料金を高くする半面、夜間を安くするメニューも入れる。時間帯で差をつけるのはこれまで電気温水器などを持つ顧客に限定していた。

 計画には今後10年で3兆3650億円超の合理化に取り組む内容を盛り込み、財務基盤の強化策も列挙した。6月に予定している株主総会後、株式を引き受ける形で公的資金を1兆円注入する。出資時にまず2分の1超の議決権を取得し、潜在的には定款変更など重要事項を決定できる3分の2超まで確保する。

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 2014年3月期での黒字転換を目指し、社債発行の再開は「10年代半ば以降のできるだけ早い時期」とした。送配電など3部門の社内カンパニー制を今秋以降に導入し、採算などを独立して管理する。

 枝野経産相は9日夕、経産省内で東電の西沢俊夫社長、下河辺和彦次期会長らと会談。下河辺氏は認定後の記者会見で、無報酬で会長職を務める考えを明らかにした。

 西沢氏は同日夜の記者会見で、東電の収支改善のカギとなる新潟県の柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に関して「1号機は13年4月、7号機は同年5月、2号機は15年秋ごろ」と時期に言及した。ただ「スケジュールありきではない」とも語り、地元への説明に時間をかける姿勢を示した。

 総合計画は福島第1原発事故の賠償に対する政府支援の前提となる。対象期間は10年。東電と原子力損害賠償支援機構が原案を作り、4月27日に経産相に提出した。

 東電は1951年に設立。福島第1原発事故で経営が悪化し、政府の支援を受けなければ債務超過に陥る危機にあった。政府・与党は外部から招いた弁護士出身の下河辺次期会長のもとで社内風土の刷新を図る構えだ。実質国有化は緊急避難措置と位置付ける。

 政府は経営改革の進展や社債発行の再開を条件に、議決権の割合を2分の1未満に減らして国有化を終える見通しを描いている。

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