SKR再建へ「上下分離」 施設・土地を甲賀市に譲渡
赤字経営が続いている滋賀県甲賀市の信楽高原鉄道(SKR)が、鉄道施設と土地を甲賀市に譲渡し、運行のみを担う上下分離方式を導入する方針を固めたことが8日分かった。公有民営の上下分離方式に移行すれば、全国で2番目となる見込み。甲賀市が国土交通省に申請し、来年度からの全面移行を目指す。
SKRは、地域の交通手段を維持するため、大株主の甲賀市と滋賀県の3者で最終調整に入った。
3者の計画によると、鉄道施設は有償、土地は無償でそれぞれ譲渡する。鉄道施設の維持管理・更新費や固定資産税などの負担を解消し、経費削減につなげる。収益は乗客増強などの取り組みにあて、甲賀市と県からの補助金に頼らない経営への転換を図るとしている。
SKRは、1991年の列車衝突事故の補償で県と市から借り入れた20億9千万円の全額放棄を求め、2月に特定調停を申し立てた。上下分離方式はSKRが今月中に策定する「再生ビジョン」の柱に位置づける。県と甲賀市は債権放棄の前提として、赤字経営からの脱却に向けた抜本的な対策が必要としていた。
SKRは「再生ビジョンを通じて、会社として新たなスタートを切りたい」としている。
【 2012年05月08日 23時25分 】