「朝雲」グラフ特集

<訓練>
近接戦闘・ドアガン射撃・空中給油・北方転地・南方転地・海外出動

<訓練>近接戦闘 瞬時の決断、磨く


接近する敵戦車部隊を警戒する7師団の90式戦車(北海道大演習場で)


周囲を警戒しながら前進する89式装甲戦闘車(北海道大演習場で)


戦車部隊とともに演習場に展開する隊員(北海道大演習場で)

【7師団=東千歳】師団は7月9日から19日まで、北海道大演習場(恵庭・千歳地区)において北方の戦車部隊(71戦連、72戦連、73戦連、2戦連、1戦群、5戦隊、11戦大)と東北方から6戦大、中方から3戦大が参加し、「平成19年度近接戦闘(AC−TESC)訓練」を実施した。
同訓練には90式、74式戦車のほか87式自走高射機関砲、89式装甲戦闘車など車両約500両が参加。戦車部隊の諸職種協同と近接戦闘能力の向上を目的に訓練センター方式で行われ、本年度は「担任官が統裁する訓練」と「部隊長が実施する訓練」の2本立てで行われた。
「担任官統裁訓練」では、他部隊中隊との対抗方式による遭遇戦や遅滞戦闘を、「部隊長訓練」は基本想定を廃止して訓練統裁官自らが考え、狙いを持った訓練ができる場を設定するなどの変更がなされた。
訓練状況は各地域に設置されたカメラが撮影した映像や戦車などに装着したGPSによる位置データ、さらに交戦用訓練装置の交戦結果などによる彼我の損耗状況などがスクリーンに表示された。
訓練に参加した71戦連の2戦車中隊長は「状況が刻々と変化するため、1秒の遅れが最悪の状況を引き起こす。これを回避しようとすると、即座の決心を迫られる。本訓練で得られた教訓は、瞬時に決断することの重要性だった」と話していた。

<訓練>ドアガン射撃
高度60メートルから目標に狙い


飛行するヘリの機内から地上の的に向け射撃を行う機関銃手(東富士演習場で)

【2普連=高田】連隊はこのほど、東富士演習場で行われた多用途ヘリからの機関銃射撃(ドアガン射撃)集合訓練を担任した。
訓練には1師団、12旅団の普通科連隊に所属する機関銃手の基幹要員候補18人が参加。UH60JAヘリとUH1Jヘリの機内から5・56ミリ機関銃「MINIMI」を用いて地上に向け実弾射撃を行った。連隊からは1中隊長の柳田勝志3佐以下約50人が参加し、機関銃手の指導等に当たった。
隊員らは、高度約60メートルの上空から距離約500メートルの的に射撃を行った。市街地訓練場での移動射撃も行い、旋回するヘリからの射撃にも挑んだ。

<訓練>空中給油
米軍機から4機のF−15へ


空中給油のためKC135(上)に接近するF15戦闘機(沖縄周辺空域で)

【83空=那覇】米空軍KC135空中給油機と空自F15の空中給油訓練がこのほど沖縄周辺空域で行われ、半沢隆彦83空司令もF15に搭乗し、訓練を視察した。
半沢司令は訓練に参加する7空団305飛行隊(千歳)のF15DJ後部座席に搭乗し、他の3機とともに那覇飛行場を離陸、訓練空域に向かった。
訓練空域で滞空中のKC135とランデブーすると、4機は周辺空域を警戒しながら1機ずつKC135の後方につけ、空中給油に臨んだ。
F15はKC135から伸びてきたフライングブームをF15の左翼付け根にある給油口に接続、空中給油を受けた。
約1時間の訓練を終えた4機は翼を振ってKC135のクルーにお礼を告げ、那覇基地に帰投した。
訓練を戦闘機の中から視察した半沢司令は「大型機への接近は大変緊張感があった。空中給油は双方が高い技術と集中力を必要とするミッションだと感じた」と印象を語った。

 

<訓練>北方転地
矢臼別で長射程射撃実施



155ミリ榴弾砲FH70の射撃を行う8特連隊員(矢臼別演習場で)

【8特連=北熊本】連隊は6月22日から7月30日まで、北方転地演習に4年ぶりに参加した。
人員490人、155ミリ榴弾砲14門、車両169両が6月30日に北海道の矢臼別演習場に集結、7月2日から4日まで、九州では実施できないFH70の長射程射撃を行った。13日から18日までは師団演習に参加、8戦大や42普通の支援に当たり防御や戦闘訓練を実施した。

 

<訓練>南方転地
東富士に展開、市街地演習



銃を構え、周囲を警戒しながら展開する隊員(東富士演習場市街地訓練場で)

【5旅団=帯広】旅団は7月11日から25日まで19年度南方転地訓練を実施、27普連(釧路)、5飛行隊(帯広)など隊員330人が陸・海・空の機動手段を使って、静岡の東富士演習場に展開した。陸上機動は苫小牧からフェリーで仙台に上陸。海上機動は海自輸送艦「くにさき」で横須賀へ。また、空中機動は十勝飛行場と釧路空港からC1輸送機で埼玉・入間基地まで移動した。
 集結した東富士演習場では市街地訓練場を活用し、機能別・総合訓練を実施。2中隊と情報小隊は検閲に臨み、高い技量を発揮した。

 

<訓練>海外出動
医療や防疫 国際援助想定



傷病者をホバリング中のUH1ヘリに収容する訓練を行う国際緊急援助隊要員(あいば野演習場で)

【10師団=守山】7月中旬から来年1月中旬まで、陸自の「国際緊急援助隊」待機任務を付与されている10師団は、待機に先立つ6月中旬、あいば野演習場などで海外への出動を想定した総合訓練を実施した。
中村師団長を訓練統裁官、上野10後支連長を実施部隊長に訓練は行われ、中方航空隊、10後方支援連隊などの隊員約480人が参加。統裁部は主に企画と統制を担当し、現地のニーズに合わせた医療・給水・航空援助実施部隊を編成し、出国させ、現地で活動するまでを演練した。
実際に人と物を動かして訓練を行い、医療活動は野外での応急医療を想定し、傷病者に対応するノウハウを学んだ。また、疫病を防ぐための防疫活動、川の水を浄水して飲料水に変える給水訓練なども実施した。