脱原発:電気のいらない家電、続々生み出す 栃木の発明家

毎日新聞 2012年05月08日 11時02分(最終更新 05月08日 12時44分)

「幸せ度」を上げるための節電を推奨する藤村靖之さん。左のパネル状の製品はヒット作の非電化除湿器=栃木県那須町の非電化工房で、袴田貴行撮影
「幸せ度」を上げるための節電を推奨する藤村靖之さん。左のパネル状の製品はヒット作の非電化除湿器=栃木県那須町の非電化工房で、袴田貴行撮影

 藤村さんが講演の際に持ち出すのが、自ら提唱した新単位「GP」。1GPは原発1基が1年間に供給する平均的な電力量(04年時点で約50億キロワット時)を意味し、家電製品別の年間電力消費量に当てはめて使う。例えばテレビなら10GP。日本全国の家庭で1年間に消費されたテレビの電力量が、原発10基分の年間発電量に相当することを指す。電気ポットは設定温度に保ち続ける電力が必要なため、意外にも冷房と同じ3GPだという。

 非電化工房では、電気炊飯器(2GP)ではなくガスと圧力鍋で米を炊いたり、照明(10GP)やパソコン(3GP)をこまめに消したりして節電効果を高めている。建物内は大きな天窓から採光し、掃除はほうき。太陽光や水力で自家発電もしている。約3000坪の敷地に10以上の建物があるが、東京電力に支払う電気料金は年間4万円程度だ。

 藤村さんは「圧力鍋で炊いたご飯の方がおいしいし、読書や入浴は部分照明やロウソクの方が適度な明るさでリラックスできる。夏場のピーク時を乗り切るための苦しい節電ではなく、日常生活の『幸せ度』を上げるための節電なら長続きする」と話している。【袴田貴行】

最新写真特集

毎日新聞社のご案内

まいまいクラブ

毎日RT

毎日ウィークリー

Tポイントサービス

毎日jp×Firefox

毎日新聞の
ソーシャルアカウント

毎日新聞を海外で読む

毎日新聞のCM

毎日新聞Androidアプリ