「オバマ再選の行方」

「雇用を輸出したのは誰だ」――オバマの強烈なパンチにたじろぐロムニー候補

共和党の「切り札」は副大統領候補

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2012年5月9日(水)

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第2群「準本命候補」リストには4年後の「本命候補」がずらり

 第2群には、当初大統領選出馬が噂されたクリスティ州知事(ニュージャージー)やブッシュ元州知事(フロリダ)、さらにはダニエルズ州知事(インディアナ)など共和党の次世代リーダーたちがひしめいている。サバト教授がこれらの政治家たちを第1群に入れなかったのは、今回は副大統領候補のオファーを受けても断る公算が大と見たからだろう。

 そのほか、「大穴候補」として、ライス氏やペトレイアス氏の名前も挙げている。ライス氏は、国家安全保障担当の大統領補佐官や国務長官を歴任した黒人女性。ペトレイアス氏は、現CIA長官。アフガニスタン駐留の国際治安支援部隊(ISAF)総司令官兼米軍司令官を務めた経験を持つ。

 最新の世論調査では、ライス氏が「相応しい副大統領候補」のトップに躍り出ている。元国務長官として知名度が高い。外交音痴のロムニー候補を支えるのに最適な人材といった認識がアメリカ一般国民にあるに違いない("Condi Rice Top Choice For VP Slot," Josh Voorhees , The Slatest, 4/19/2012)

 ただサバト教授は、ライス氏もペトレイアス氏も、共和党の副大統領候補には適していないと指摘している。ライス氏はブッシュ前大統領にあまりにも近い。一方、ペトレイアス氏をCIA長官に指名したのはオバマ大統領だ。ロムニー氏としても、指名にはなかなか踏み切れないだろうと分析している。

副大統領指名は党大会前の数日前か

 問題は、ロムニー候補がいつ副大統領候補を指名するか、だ。

 通常、党大会の数日前に、大統領候補が副大統領候補を発表することになっている。過去10年で最も早いのは、党大会の20日前。ジョン・ケリー民主党大統領候補が2004年に、ジョン・エドワーズ上院議員(ノースカロライナ)を副大統領候補に指名した。最も遅いのは、08年オバマ民主党大統領候補で、党大会の2日前のこと。バイデン上院議員を副大統領候補に選んだ。ブッシュ大統領候補が2000年、ディック・チャイ二ー元国防長官をランニングメートに指名したのは党大会の6日前だった。

 ロムニー候補は、おそらく党大会の開かれる8月27日(フロリダ州タンパベイ)の数日前から前日までに副大統領候補を指名するだろう("Romney's VP Selection: Hold Your Horses, Geoffrey Skelley, Sabato’s Crystal Ball, 5/3/2012)

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著者プロフィール

高濱 賛(たかはま・たとう)

高濱 賛=在米ジャーナリスト。米パシフィック・リサーチ・インスティテュート所長。元読売新聞ワシントン特派員、総理官邸キャップ、政治部デスクを経て、同社シンクタンク・調査研究本部主任研究員。1995年からカリフォルニア大学ジャーナリズム大学院客員教授、1998年から同上級研究員。「中曽根外政論」「アメリカの歴史教科書が教える日本の戦争」など著書多数。



このコラムについて

オバマ再選の行方

2012年、日本を取り囲む国々のトップが代わる可能性がある――米国、中国、ロシア、韓国。
どの国よりも日本に影響を与えるのが、米大統領選の動向だ。

歴史を振り返ると、多くの米大統領が2期を務めている。
しかし、オバマ大統領は再選を果たせるのか?

同大統領は、医療保険制度の改革という公約を果たした。
しかし、これに覆そうとする共和党が議会下院で過半数を握る。
同大統領は、アフガニスタンからの2011年7月からの撤退開始も、公約通りに宣言した。
しかし、アフガン情勢は不安定で、撤退がスケジュール通りに実行できる保証はない。
経済再生を優先するために抱えた巨額の赤字は、批判の的になっている。

果たしてオバマ大統領は再選できるのか?
2012年大統領選にかかわる出来事をタイムリーに取り上げ、解説する。

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