「オバマ再選の行方」

「雇用を輸出したのは誰だ」――オバマの強烈なパンチにたじろぐロムニー候補

共和党の「切り札」は副大統領候補

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2012年5月9日(水)

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 問題のテレビスポット広告ーーーー。

"As a corporate CEO, [Romney] shipped American jobs to places like Mexico and China. As Governor, he outsourced state jobs to a call center in India. He's still pushing tax breaks for companies that ship jobs overseas. It's just what you expect from a guy who had a Swiss Bank Account."("Obama Campaign Strikes Squarely At Romney's Swiss Bank Account," Sam Stein, Huffpost Politics, 5/1/2012)
(ロムニーは大企業のCEOとしてアメリカの仕事をメキシコや中国に「輸出」していた。知事としてロムニーは、州内にあったインターネット関連の仕事をインドのコールセンターに外部委託してしまった。さらに、海外に雇用を「輸出」している企業のための優遇税制を推し進めている。皆さんがスイス銀行口座を持つ男に期待できることといったらこの程度のことだ)

 これに呼応する形でオバマ選挙本部も、選挙キャンペーンのウェブサイトに世界地図を載せ、ロムニー候補が持っているとされる海外の銀行口座――バーミューダ、アイスランド、ドイツ、ルクセンブルグ、ケイマン諸島、オーストラリア――を明示した。

"Tell Mitt Romney: Bring Your Offshore Accounts back to the USA"(ミット・ロムニーに告ぐ:海外口座をすべてアメリカに持ち帰れ)

 オバマ選挙本部のサイトによると、2010年のロムニー氏の納税額は年収の13.9%。この実効税率は、教師、消防士、警官といった典型的な中産階級の人たちと同じだ。適用税率を引き下げるために、納税対象となる収入や資産を海外の銀行口座に移していた、というのがオバマ陣営の解釈だ("Tell Mitt Romney: Bring Your Offshore Accounts back to the USA," Obama for America, www.barackobama.com., 5/5/2012)

共和党副大統領候補は乱立、婿1人に"花嫁候補"23人

 前哨戦で苦戦が続くロムニー候補が頼みとする「切り札」は、弱点をカバーできるカリスマ性とバイタリティを備えた副大統領候補だ。

 バージニア大学政治研究所のラリー・サバト教授は、共和党副大統領候補対象者として23人の名前を挙げている。そしてその23人を4つのカテゴリーに分けている。

○第1群(本命候補)
ロブ・ポートマン(56) 上院議員(オハイオ)
元米通商代表部(USTR)代表 元行政管理予算局(OMB)局長、メソジスト

マルコ・ルビオ(57) 上院議員(フロリダ)
ラティーノ 「茶会」支持 カトリック

ボビー・ジンダル(40) 州知事(ルイジアナ)
インド系 元下院議員 オックスフォード卒、カトリック

ポール・ライアン(42) 下院議員(ウィスコンシン)
下院予算委員長 カトリック

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著者プロフィール

高濱 賛(たかはま・たとう)

高濱 賛=在米ジャーナリスト。米パシフィック・リサーチ・インスティテュート所長。元読売新聞ワシントン特派員、総理官邸キャップ、政治部デスクを経て、同社シンクタンク・調査研究本部主任研究員。1995年からカリフォルニア大学ジャーナリズム大学院客員教授、1998年から同上級研究員。「中曽根外政論」「アメリカの歴史教科書が教える日本の戦争」など著書多数。



このコラムについて

オバマ再選の行方

2012年、日本を取り囲む国々のトップが代わる可能性がある――米国、中国、ロシア、韓国。
どの国よりも日本に影響を与えるのが、米大統領選の動向だ。

歴史を振り返ると、多くの米大統領が2期を務めている。
しかし、オバマ大統領は再選を果たせるのか?

同大統領は、医療保険制度の改革という公約を果たした。
しかし、これに覆そうとする共和党が議会下院で過半数を握る。
同大統領は、アフガニスタンからの2011年7月からの撤退開始も、公約通りに宣言した。
しかし、アフガン情勢は不安定で、撤退がスケジュール通りに実行できる保証はない。
経済再生を優先するために抱えた巨額の赤字は、批判の的になっている。

果たしてオバマ大統領は再選できるのか?
2012年大統領選にかかわる出来事をタイムリーに取り上げ、解説する。

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