東レは、同社のバイオマス(生物資源)由来材料のポリ乳酸(PLA)繊維「エコディア」を使った砂漠の砂の移動防止と緑化の実験を、中国で同国の砂漠緑化を推進する学会と実施する。両者で契約を結んだ。北京近郊をはじめ中国国内の約6.7haを対象に「PLA砂移動防止資材」の設置、植樹、効果確認の定点観測などを行い、2015年3月をめどに成果をまとめる。
中国では、流動砂漠による都市被害が問題となり、第12次5カ年計画(2011〜2015年)でも砂漠の砂移動防止と緑化の研究を重要課題に位置付けた。現在、中国全土で砂漠砂移動防止・緑化が必要な地域は約50万km2(5000万ha)にのぼるといい、効果的な対策が求められている。東レはPLA砂移動防止資材が有効と考え、学会と実験することにした。
エコディアは石油資源節約とCO2排出削減が可能になる素材で、生分解性の特長を生かし、土木・農業資材での普及を進めている。PLA砂移動防止資材は、PLAを100%使用した筒状の生地で、砂を詰めて砂漠に碁盤の目状に敷き詰めることで風力を抑えて砂の移動を防ぎ、砂の表面を安定させた後、種子を定着させて緑化する。PLA資材は緑化後に分解してなくなる。
東レはこれまで、ニット製品・環境対応システムのミツカワ(福井県越前市)と共同で中国の内蒙古自治区などで砂移動防止に関する実証実験を手掛け、効果を確認している。今回の実験実施契約の締結を機に、中国の国家レベルでの認定取得を目指し、PLA資材を使用した砂漠砂移動防止・緑化工法の普及を進め、新しいビジネスモデルの構築を図る。
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