インドの経済統計の信頼性が揺らいでいる。政府は先週、1月の鉱工業生産指数の前年同月比の伸び率を先月発表した「6.8%」から「1.1%」へ大きく下方修正した。砂糖の生産量を、担当者が誤って実際の倍以上と報告したのに誰も気づかなかった、というお粗末な理由だった。
政府は、この誤報告の詳細を公表していない。地元経済紙によると、消費者・食料・配給省の担当者が昨年10月から4カ月分のデータを統計・計画実施省に送り、これが今年1月分の数字と誤解された。前年同月や前月と大きな差があれば再確認することになっているが、明らかなデータの誤りを見つけられなかった。
昨年12月にも、コンピューターソフトの欠陥で昨年4〜10月の輸出額を7千億円ほど多めに公表していたことが明るみに出るなど、失態が後を絶たない。
インドの経済統計には、国外の投資家や専門家も注目する。鉱工業生産指数の訂正後、政権重鎮のムカジー財務相が「0.1%幅くらいならまだしも、これだけ大きなミスには戸惑っている。関係部署に原因究明と再発防止を指示した」と釈明するなど、不信感をぬぐおうと躍起だ。(ニューデリー=庄司将晃)