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オーストラリア人の10人に1人が人種差別主義者!?
いきなりこんなタイトルでビックリされたのではないでしょうか?ええ、僕自身ビックリしましたよー。でもこれ、実はちゃんとした大学の研究室による意識調査の統計結果だそうです。
ニューサウスウェールズ州ウエスト・シドニー大学で社会地理学(Social Geography)などを研究なさっているケビン・ダン準教授が、過去10年間に渡り1万2500人を対象に行ってきた『反人種差別調査プロジェクト(The Anti-Racism Research Project)』の調査結果で、今週同州のシドニー工科大学にて開催された国際4Rカンファレンス(4R-人権、調和、敬意、責任の頭文字-人権問題を扱ったカンファレンス)で発表されたものだそうです。
なぜオージーが人種差別家呼ばわりされてるかという事ですが、先に準教授が収集した統計データのまとめをざっとご紹介しますので、ご覧になってみて下さい。
- 10%の調査対象者は、「人種には優劣がある」と回答。いわゆる人種的特定集団至上主義者に属する。
- 40%以上の調査対象者が、「特定の人種はオーストラリア社会に好ましくない」と回答。州別の分布ではシドニーのあるニューサウスウェールズ州での割合が最多。逆にオーストラリア首都特別区が最少。
順位 州 「はい」と回答した割合 1 NSW 46.6% 2 WA(パース) 45.4% 3 QLD 42.0% 4 TAS 41.0% 5 SA 40.1% 6 VIC 35.9% 7 NT 35.3% 8 ACT 28.2% - 65歳以上の高齢者の場合、およそ65%が「はい」と回答。
- 18〜34歳までの若年者の場合、およそ31%が「はい」と回答。
- その対象として、特にイスラム教徒をはじめとする中近東出身者が目立って挙げられた。
- 次いで、近年難民の非順応が問題に挙げられた、アフリカ系黒人。
- さらに、未だに原住民アボリジニへの差別意識がある事も分かった。
- 10%の調査対象者が、異民族間結婚は認めないと回答。
- 80%以上の調査対象者が、「人種の多様性そのものは有益なことである」と回答。
Simmering tensions seen as downside of diversity
Challenging Racism: 反人種差別調査プロジェクトの結果、オーストラリア人は大々的に(人種の)多様化を受け入れていると同時に、未だナショナル・アイデンティティに対する視野が狭い事が分かった。
ウエスタン・シドニー大学の人間地理学と都市研究の権威ケビン・ダン(Kevin Dunn)教授が率先した研究から、移民率の高いNSWでは、平均すると他の州や準州と比べもっとも寛容さに欠ける事が分かった。
特に少数派民族によってオーストラリアが弱体化されているかという質問の際には、主に賞巣は民族が旧来の文化圏の人間だけで固まりオーストラリア社会に順応しようとしないという理由で、もっとも高い賛成意見が挙がった。
「大雑把に見るとNSWは他の州よりも劣っているように見えますが、それには多くの理由があります。」ダンj教授は語る。
シドニーに高い率の移民が集中しているという事は、異文化との接触も多いのと同時に摩擦も起きやすい。
「これは多様性の受け入れの大半がシドニー内で行われているという事になります。」彼は言う。「この調査は大いに役立ちました。この発見は必ずしも過剰に心配すべき事ではありません。これは単に、貧しい異文化交流が発生する機会が多くあるというだけの事です。」
イスラム教学校建設に対する暴動があったキャムデン(Camden)に関して、ダン教授は、「キャムデンのイスラム教学校に関する問題は、異文化交流の経験があまりない歴史を持つ彼の地域で問題を必要以上に拗らせる結果となりました。しかし、キャムデン問題に関するデータを見てみると、この地域の人々(の意識)がさほど一般的なイスラム教徒へ対する意識と変わらない事が分かります。」
・・・(中略)・・・
全体的な統計を見てみると、女性の方が男性よりも(少数派民族に対して)寛容だという事が分かります - イスラム教徒に対する場合を除いては。
マードック大学の社会心理学者アナ・ペダーセン(Anne Pedersen)博士は、この発見はとても重要であると捉えている。
「オーストラリアはとても寛容な国だとよく聞きますが、我々の中にはあまりにも多様な意識が混在しています。」彼女は言う。「一部は寛容ですが、一部はそうではありません。しかしこれをまとめてカーペットの下に掃き捨てるという事は、決してあってはならない事です。」
当カンファレンスでスピーチをした、ラケンバ出身のイスラム教徒アスマ・ユスラ(Asma Yusra)、21歳は、「私はオーストラリアの文化や音楽や、食べ物を愛しています」と語ったが、人種差別にも苦しんだと言う。
彼女はある時タウン・ホール駅に居たそうですが、一人の男性が突然新聞を投げつけてきたそうです。投げつけられた新聞には、テロ攻撃の記事の載っているページが開かれていたそうです。
「私はその経験でとても心が痛みました。私は他の人と同じくらい自分をオーストラリア人だと思っているのに。私はこの国で生まれ、この国育ったんです。」と彼女は語っていた。
彼女は、移民を親に持つ子供達が差別撲滅の為に積極的に働きかけているので、今後の展望には希望を持っていると最後に語った。
2008-Sep-28, Sydney Morning Herald - "Simmering tensions seen as downside of diversity より
うぅん、難しい問題ですね。確かにオーストラリアにおいて差別問題が未だに大きな課題である事は間違えありません。白豪主義なんてものが1975年まで実施されていた国である事も否めませんし、我々の親くらいの世代はそれこそ白豪主義の申し子なわけですしね。
ただ、この調査対象12,500人の選定方法がどれだけ的確かも疑問視する余地があるとは思います。別のニュース記事にも書かれていましたが、「特定の人種はオーストラリア社会に好ましくない」と回答した率が3番目に少なかったノーザンテリトリー準州などは、実際にはアボリジニへ対する差別問題がよくニュースに挙がる州です。西オーストラリアも、いくら人口が他都市と比べて圧倒的に多いと言っても、パース市民のみが対象というのもどうかと思います。しかし、仮に差別意識の強そうな人々が研究結果の誇張の為に意図的に選定されたとしても、これらの数値は決して無視できない感がありますが。
丁度、これに全面的に反論した意見がLIVENEWS.com.auに載っていました。
この記事の筆者は極端に”オーストラリア人”に対して庇護的な意見を述べていますが、いくつか考慮すべき正論もあります。その中で特に重要だと僕が個人的に感じたのが、少数化民族の一部が同属同士で固まり「排他的」になっているという点です。
オーストラリアは名目上「多民族国家」を謳っている以上は、基本的に他人に迷惑の及ばない範囲であればどういった文化を持ち込むことも善しとされています。が、それは自国の文化を自由に持ち込めるのと同時に、他国の文化も受け入れその雑多な異文化環境に順応する事も求められているのです。
しかし、少数派民族の一部は同族同士で固まり、差別的とまではいかないにしろ、他の民族に対して排他的な姿勢を取っているのは現実に目にする事実です。イスラム教徒や中近東の人々に限らず、アジア人の中にもそういったコミュニティの中だけで生活している人は居ます。これが人口密度の高い都市部へ行けば、いっそう強まります。これに対して、「XX地区のXX人は、他の人種を受け入れない」という事になれば、当然槍玉に挙がり人種差別的な姿勢へと発展するのは、いわゆる「オーストラリアニズム」的に考えれば、極端な言い回しかも知れませんが「至極当然の成り行き」なのです。
上の記事のコメント欄にも書かれていましたが、これらの少数派民族の人々が保守的にならないよう、地元の人々がもっと友好的に彼らを受け入れる姿勢ももちろん不可欠です。結局は月並みな意見ではありますが、お互いに保守的な姿勢を努めて拭い去ろうとする試みが必要なのだと思います。
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