記者の目:軽微な罪重ねる「累犯者」問題=長野宏美

毎日新聞 2012年05月08日 00時55分

 10年12月30日朝刊(東京本社版)で取り上げた藤崎宗司死刑囚(50)は悪循環が最悪の形となったケースだろう。中程度の知的障害があり、自動車盗などで8回服役後、スナックのつけを払うため、茨城県で高齢女性2人を殺害して現金を奪い、死刑が確定した。私は05年の事件発生時も取材したが、その時は「どうしようもない人間」としか思えなかった。だが、足跡をたどると、さまざまに手を差し伸べる人はいても、彼は結局、服役中も出所後も福祉とのつながりは持てず、故郷と刑務所を行き来していた。

 刑事司法と福祉のはざまに落ち込んだ累犯者を巡る問題は、元衆院議員の山本譲司氏の著書をきっかけにクローズアップされるようになり、この数年は改善が進んだ。刑務所出所者を福祉につなげる「地域生活定着支援センター」も3月に全都道府県の設置が実現した。今後は、逮捕や公判といった「入り口」の改善策が急務だ。例えば、日本弁護士連合会は、容疑者や被告の弁護士がいち早く障害に気付いて福祉につなげることで「次の犯罪」を防ごうと、各地の弁護士会で講義をしている。

 ◇「特殊な人」と排除せず支援を

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