もう何度目になるのだろう。 私の目の前で可愛く喘ぐこの娘を何度愛したか、私はいつも考えてしまう。 「ぁん……はぁ……里彩ぁ」 数えることに意味なんてない。何度シたって飽きることなんてない。 「ひぁっ!ソコ……あぅん!」 ピンクの割れ目から溢れる蜜を舌で掬いながらぷっくりと膨らんだ肉芽をつつくと、切羽詰ったような色っぽい声が漏れ出す。 ナカはあんまり感じないんだよね。自分でスルときも、あんまりナカは弄らないもん。 それよりもクリトリスがいいんでしょ。 特に十分に濡れてぬるぬるになった指先か舌先でつついたり擦ったりされると…… 「ぁぅ……あん!」 すぐに腰が浮いてきちゃう。 みっともないなぁ、もっともっとって、おねだりしてるみたいだよ英理。 「ぅぅ〜里彩ぁ……お願い……」 大丈夫だよ、焦らしたりなんかしないから。 シテ欲しいことはわかってる。弱点も、感じるところも、全部知ってるから。 もっと鳴いてよ。私だけしか知らない、可愛い英理を見せてよ! 「ああっ!里彩っ……好き……愛してる!」 明日から連休だよ。 ずっとお仕事が忙しくて寂しい思いをさせちゃったけど、今夜は一晩中愛し合おうよ。 「里彩……ああっ!!!」 ―数年前 英理の気持ちを弄ばれていたことに対する怒りはだいぶ治まったようだった。 それ以上に、どうしてこんなことをしたのかと何度も問い詰められた。 「ふざけないで……!」 英理が顔を真っ赤にして睨んでいる。 それは怒りによるものなのか、それとも羞恥心によるものなのか、今の私にはちょっと判別がつかなかった。 「ふざけてなんかないよ。私は英理のことが……」 「女の子同士だよ?!!」 私の発言を遮るように英理の大声が被さる。 「私たち……女の子同士、なんだよ?」 「知ってるよ。それでも英理のことが好きなんだ!」 気圧されたように英理が言葉に詰まる。 「でも……」 「英理だって……気持ちよかったでしょ?」 「っ!」 今度は間違いなく羞恥で英理の顔が赤くなる。 「私のこと、好きだって……言ってくれたじゃない!」 「あれは……里彩の催眠のせいで……」 「私のこと想いながら、自分を慰めたでしょ?セックスだってしたじゃない!あんなに気持ちよさそうにしてたのに……っ!!」 バシッ!! また叩かれた。それも、さっきよりもずっと強い力で。 「……痛いよ」 「…………っ!!!」 叩かれた私よりも、叩いた英理のほうが痛いんだろうな。 英理は優しいから、なるべく私を傷つけないようにって、思ってるんだろうな。 「里彩……もう、やめよう」 英理はそっと私の頬に手をあてると、私の目を覗き込んだ。 「里彩……私の目を見て」 「やっ……!」 慌てて目を逸らそうとするけど、捕まってしまったかのように彼女の瞳から逃げることができない。 「目を閉じるのもダメだよ……そう……じーっと見つめて……」 「ぅぅ……だ……め……」 「だんだん意識が私の瞳に吸い込まれていく……目を開けているのが辛くなってくる……」 英理の優しい声が甘い響きを伴って私をトランス状態に導いていく。 私も必死で抵抗するけど……だめだ……お互いなんども催眠をかけあったりしたから、私自身すっかり非暗示性が高くなってて、全然抵抗できない…… 「ほら……だんだん眠くなってくる……里彩はだんだん眠くなってくる……瞼が重くてたまらない……」 ぅぅ……眠くなる……私……眠くなってる…… 「目、閉じちゃおうよ……気持ちよくなれるよ……」 「うん…………」 ふっ……と、目を閉じてしまうと意識が心地よい暗闇に包まれた。 「眠っちゃったね、里彩は催眠状態になっちゃったよ……深〜い深〜い催眠状態になっちゃった」 うん……私、催眠状態になっちゃった…… 「力を抜いて……もっと深い催眠にかかると気持ちいいよ。里彩は催眠にかかりたい。そうだよね」 うん、私……催眠にかかりたい…… 「大丈夫だよ……なにもかも忘れて、ぐっすり眠ろう。私たちはもとの親友に戻るだけ……私にとって里彩は、大切な友達に戻るだけだから」 とも……だち……? その一言で一気に意識が覚醒した。 「私だって……ううん、催眠のことも忘れようね。全部元通り、なにも知らなかった頃の私たちに……」 「……嫌だ」 睡魔を振り払うように強引に瞼をこじ開けると、徐々に意識がハッキリしてくる。 「う、嘘……」 「嫌だよ……友達に戻るなんて……絶対…………嫌っ!」 危なかった…… 危うく落とされるところだった。 「えっ……ええ?そんな……」 自分のかけた催眠を解かれて英理は動揺しているようだった。 その心の隙……見逃さない! すかさず人差し指を英理の目の前に突き出した。 動揺していた英理は思わず私の指先を凝視してしまう。 「英理……私の指を見て……」 「あ……っ!」 英理の動きが止まったのを確認して、ゆっくりと円を描くように指を回し始める。 英理の目線が指先を追っていく。 「そう……そのまま見つめて……その調子よ……」 慎重に……今失敗したらもう英理を催眠状態に落とすことはできない。 「指先から目を離せない……だんだん頭の中がぼーっとしてくる……だんだん目が疲れてくる……」 「やぁ…………だめぇ…………」 徐々に英理の身体から力が抜けてゆき、目がトロンとし始める。 英理も私と同じで、相当催眠にかかりやすくなってる。 それでも、なんとか催眠にかかるまいと頑張ってるけど、視線は律儀に指先を追いかけている。 「ほら……我慢しないで……英理は催眠にかかりたくなる……私に催眠をかけてほしくなる……」 「ぅ…………」 「ほら……力を抜いて……頭の中がぼんやりしてくる……それはとっても気持ちいい……」 「気持ち……いい……」 瞼がフルフルと震えて、我慢の限界であることを伝えてくる。 「ほぅら……目を閉じると、英理は催眠状態になっちゃう……すっごく気持ちよくなれる……」 徐々に指の動きをゆっくりにしていき、 「ほら……ほら……」 ちょうど英理の眉間で指の動きを止める。 そして指を下にむけると釣られて英理の目線も下をむき、そのまま瞼を閉じてしまう。 「英理は催眠状態になっちゃったよ……深〜い深〜い催眠状態になっちゃった」 英理が私に催眠をかけた時と同じ文句で、今度は私が英理を落としていく。 「力を抜いて……もっと深い催眠にかかると気持ちいいよ。英理は催眠にかかりたい。そうだよね」 英理の頭が、コクン、と頷く。 その頭の上にそっと手を置いて、 「ほら、こうやって頭を撫でられると、どんどん催眠が深くなる……」 サラサラの英理の髪の感触を楽しみながら優しく頭を撫でてあげる。 「……英理、気持ちいい?」 「…………ぅん」 うっとりとした声で返事が返ってきてホッとする。 「もっと気持ちよくなるよ〜」 英理の頭を撫でながらこの先のことを考える。 どうにか催眠をかけることには成功したし、このまま深化させることはできるけど…… あの先輩たち…… また私の知らないところで催眠を解かれてしまうかもしれない。そうなったら最悪だ。 なんとか解けないように催眠をかけないといけないけど…………そうだ! 「英理、目を開けてみようか。ただし、目を開けても催眠状態のまま。深〜い夢の中だよ」 「ぅん……」 ゆっくりと英理の目が開いていく。 意思の光を感じない瞳、ぼんやりとした表情、物理的にも精神的にも無防備な英理はやっぱり爆薬だ。 「立てる?」 手をとって英理を立たせると姿見の前に連れていき、机から椅子を持ってきて英理を座らせる。 鏡には私と椅子に座った英理が写っている。 「さぁ英理、鏡を見て」 英理のうつろな瞳に鏡に写った自分の姿が映し出される。 「英理、自分に催眠術をかけてみよっか」 「自分に……催眠……」 「自分で自分を深〜い夢の世界に誘うの。気持ちいい夢の中に自分から入って行っちゃうの」 「自分で……気持ちいい……」 うつろな英理の視線が鏡のそれと絡み合う。 「さぁ、鏡の中の自分の目を見て……じーっと見つめて……鏡に写った女の子に、私にしてたみたいに催眠術をかけるの」 「はい……」 二人の英理が見つめ合う。 意志の光を宿さない瞳にトロンとした女の子の顔が映し出される。 「私の目を見て……絶対、逸らさないで……」 ぽそぽそとした口調で鏡に向かって英理が語りかける。 「見ていると……吸い込まれる……瞳に……あなたの……意識が……」 英理から見た自分の瞳には英理自身が写っている。 瞳に写った英理の瞳にも英理が写っている。 まるで合せ鏡だ。 「眠くなる……だんだん……眠くなって…………催眠に…………かかって……いく…………」 そんな何かありそうで何もない世界に英理の意識が吸い込まれていく。 英理の言葉がだんだん少なくなっていき、今にも閉じてしまいそうな瞼は切なげにふるふると震えている。 「もう……深、い……催眠……に…………」 カクンと英理の頭が下を向いて、その身体がゆっくりと横に倒れていく。 「おっと」 正体を無くしたその身体を支えて、自ら夢の世界に落ちた恋人に優しく語りかけた。 「もう英理は深〜い深〜い催眠状態になっちゃったよ。英理の催眠は私にしか解けない。いい?」 「…………う……ん」 これでもう大丈夫。 自己暗示は他人にかけられた暗示よりもずっと強い。 これから催眠をかける毎に英理自身に暗示を固定させれば他人に解かれる心配はまずない。 これで催眠暗示を固定する手筈は整った。 あとはもう一度私を好きになってもらうだけ。 だけど前のようにただ好きになってもらうだけじゃ十分じゃない。 最初に催眠をかけたとき、英理に私のことを好きになってもらえば十分だと思ってた。 でも、今はもうそれじゃ満足できない。 欲しい…… 英理が欲しい。 まるで乾いた砂が水を際限なく吸い込むように、英理が欲しくてたまらない。 心も、身体も、これから訪れる未来も! 英理に私だけを見て欲しい。私なしじゃ生きられなくなってほしい。 「英理……目を開けて……私の目を見て」 瞼がゆっくりとひらき、意志の光を宿さない瞳が私の視線を受け入れる。 ぽぉっとした無防備な身体と真っ白なキャンパスのような心を、これから私の好きな色に染めることができると思うとぞくぞくする。 「英理、あなたの心はだんだん不安になってくる」 「……ぅ……」 「理由はわからない。でも不安になってくる。怖くなる。寂しくなる」 「ぁ……ぁぁ……」 英理の肩がカタカタと震え出す。 自分の身体を抱きしめるようにうずくまってしまう。 「目を逸らさないで……!」 「ぃ……や……」 怯えながらも、英理は私の瞳から目をそらすことはできない。 「ほら、寂しくて仕方ない。身体が凍えるように寒い」 英理の目から涙が溢れ出す。 「あなたはひとりぼっち」 「…………っ!」 「英理はひとりぼっち。この世界に一人だけ……誰もあなたを助けてくれない。誰もあなたを慰めてくれない」 「いや……いやぁ」 「苦しい……寒い……寂しい……寂しい、寂しい、寂しいっ!寂しいっ!!」 「いやあぁぁぁあぁぁぁあああっ!!!」 英理は悲鳴をあげると、頭を抱えてしゃがみこんでしまった。 「ぁ……ぁ……」 泣きながら震える英理を見て、私の心はどす黒い高揚感で満たされていた。 可哀想な英理……なんて可愛いんだろう。 寂しいんだね、辛いんだね、でも大丈夫。私が助けてあげるから。 英理の後ろに回り込み、腕を首にまわしてそっと抱きしめた。 「……っ!!」 ビクッと英理の身体が震える。 「大丈夫だよ、英理。私がいるよ」 「里……彩……?」 「私に抱かれていると、英理は心が落ち着いてくる。だんだん寂しくなくなっていく」 「ぁ……ぁぁ」 英理の手が縋るように私の腕を掴む。 「ほら、だんだん心があったかくなっていく。私の体温が心地よくてたまらなくなる」 涙に濡れた英理の表情がうっとりとした表情に変わり、私の手に愛おしそうに自らの手を重ねた。 冷たく冷えきった英理の手を包み込むように握る。 「大丈夫だよ、私がいてあげる。こうやって英理をあたためてあげる」 「は……ぁ……」 「寂しいときも、寒いときも、ずっとそばにいてあげるから。英理はなんにも心配しなくていいよ」 「里彩と……いっしょ……」 「そう……私と英理はずっと一緒だよ。もう英理は私無しじゃ生きられない」 そう言って私は、英理を抱いていた腕を解いて身体を離した。 消えていく英理のぬくもりが、なんだかとても寂しかった。 「……ぁ……や、やだ」 捨てられた子犬のような目で英理が私を見つめる。 「ほら、私と離れるとまた寂しくなる。あの不安で寒い気持ちがよみがえってくる」 「ぅぁ……ぁ……」 たちまち泣きそうな表情になる英理が可愛くて仕方ない。 涙を浮かべて震える英理を見て、酷いことしてるなって思う。 でも仕方ないんだ。分かってね、英理……。 あなたが悪いんだよ。 あなたが私のものになってくれないから……。 だからキチンと教えてあげる。 あなたは私がいなくちゃダメなの。 私と一緒にいることが、英理にとって最高の幸せなんだって、ちゃ〜んと教えてあげるからね。 「ね、寂しいでしょ?怖くて仕方ないでしょ?私がいないと、英理はこんなに怖がりなんだよ」 「う……やだぁ……里彩……」 救いを求めて手を伸ばす英理を後目に、私は立ち上がって部屋の外へ出ようとする。 「や!待って里彩!いかないで!!」 私の足にすがりついて英理は「いかないで」と繰り返した。 主人に捨てられた子犬のように、寂しさと、孤独への恐怖をその瞳に宿して私を見つめながら。 「………………」 そんな英理を、私はただ見下ろしていた。 「お願い……独りにしないで……」 「……………………」 「里彩ぁ!」 本当は今すぐに抱きしめたい。 ぎゅって抱きしめて、甘い言葉をかけて、そのままベッドに連れ込みたい。 でもそれじゃあダメなんだ。 英理にはキチンと理解してもらわないといけない。 『私には里彩が必要!里彩の言うことは正しい!里彩が全て!』 そう教えないといけない。 これは躾なんだ。 「里彩……」 震える英理の両手が私の手を包むように握られる。 その手の冷たさに軽く動揺したけど、落ち着いてその手を払い除けた。 「きゃっ!」 その勢いで英理の身体は弱々しく倒れ込んだ。 「ぅぅ……、………………」 英理の目からポロポロと涙が溢れる。 俯いた英理の表情からは、悲しみの感情しか読み取ることができない。 「英理……」 そんな英理の肩をそっと抱きしめた。 「り……里彩」 英理の肩は寂しさで震えていて、私が触れた途端に治まったことがなによりも嬉しかった。 「どう、英理……私に抱かれていると、安心するでしょう?」 「……うん」 私の手に英理の手が重ねられる。 「心があったかくなっていく……ずっとこうしていたい……」 英理の手に力が入って、私の腕がぎゅっと握られる。 瞼がトロンとしてきて、だんだんうっとりしたような表情になっていく。 「はぁっ……里彩……」 「ね、英理。私のこと、好き?」 「え……っと」 「私のこと、好き?」 横から英理の顔をのぞき込みながら問いかける。 「英理は私のことを好きになるよ」 「里彩のこと……好き……」 「私のことを好きでいると、ずっと安心できる……心が安らぐ……」 「ぁ…………す……き……?」 「ほら、ちゃんと好きって言って」 「……ぅ……」 恥ずかしそうに頬を赤らめて、ぷいっとそっぽをむいてしまう英理。 いつもなら、可愛いなぁ、って思うところだけど、 「好きって言わないと、さっきの不安な気持ちがよみがえってくるよ」 「え……」 「ほら……心がどんどん不安になっていく……寂しくてたまらなくなってくる……」 「や……やだ!」 慌てて私の方に向き直る英理。 その瞳にはうっすらと涙がうかんでいた。 「好き……里彩が好き。大好き!」 落ちた。 自らの心を差し出した英理の腰に手を回して、もう片方の手の人差し指で英理の顎を持ち上げる。 「よくできました」 心を奪われる悦びに震える身体を抱きしめながら、甘い吐息の漏れる唇を自らのそれでふさいだ。 「ん……あむっ……」 唇が触れ合い、舌が絡み合い、唾液が混ざり合う。 「はっ、あ……ちゅっ……んっ……」 互いを求め合う唇の隙間からはぴちゃぴちゃといやらしい水音が響き、時折熱っぽい吐息が漏れる。 それは一定のリズムで紡がれる英理の声と混ざり合い、淫靡な旋律となって私を悦ばせた。 「ん……ぷぁ」 そっと唇を離すと、銀色の糸が私たちを繋ぐ。 「あっ、あー……はぁ」 顔を真っ赤にした英理に物欲しそうな目で見つめられて、私の欲望のタガが一つ一つ外されていくのを感じる。 「英理、服を脱いで」 英理は恥ずかしそうに俯きながらも嫌がる素振りは見せず、素直に着ているものに手をかけた。 「そう……英理は裸になるの。生まれたままの姿になって、心も身体も私のものになって」 「うん……私、里彩のものになる」 ボタンを外していく指先が震えている。 伏し目がちな瞳が私の姿を映さない。 恥ずかしさは少しも消えていないんだろうな。 それでもその儚げな笑顔には、私に全てを差し出す悦びに溢れていた。 「んっ」 スラックスが下ろされ、可愛らしいピンクのショーツがあらわになる。 「ぅぅ……あんまり見ないで……今日、子どもっぽい下着だから」 英理はそのまますぐに脱ごうとしたけど、私はその手を遮って、 「私にさせて」 英理は顔を真っ赤にしてコクンと頷いた。 その仕草があまりにも可愛くて、なんだか意地悪したくなってしまう。 背中に手を回してホックを外してブラを外すと、すぐ目の前に英理の乳房があらわになってクラクラしてしまう。 「やっ」 吸い寄せられるように双丘の中心に浮かぶピンクのつぼみに触れると、英理は弾かれたように身体を震わせた。 既にそこは固く勃起して、弄ってもらうのを心待ちにしているようだった。 あとでじっくり愛してあげるからね。 そう思いながら視線と両手を下へと移動させ、スベスベした肌の感触を楽しみながらショーツに手をかけた。 「んっ……ふ」 くすぐったそうに身をよじる英理の肌が少しずつピンク色に染まっていく。 ゆっくりとショーツを下へと下ろしていき、彼女の秘裂が目の前に現れる。 今すぐにむしゃぶりつきたくなる気持ちを抑えてショーツを足元まで下ろし、片足ずつ抜き取っていく。そのまま靴下も脱がせる。 身体を覆うものをすべて取り払い、全裸になったところで一歩下がって英理の全身を眺めた。 「……っ」 「隠しちゃいやだよ。気をつけして」 胸と股間を隠そうとする英理に命令する。 「ぅぅ……」 持ち上がろうとした両の手は主人の身体を守ることなく、その力を失って腿の外側に追いやられる。 一度見たとはいえ……ううん、何度見たって飽きるはずがない。 こんなにも綺麗で、魅力的で、エッチな身体に飽きることなんてあるはずがない。 「英理……」 ピンと背筋を伸ばして、その身体を惜しげもなく私の瞳に写してくれる。 いつまでも見ていたいけど、そのうち見られてるだけじゃ物足りなくなってきて、だんだんアソコが潤ってくるんだ。 英理の足がもじもじとじれったそうに震えて、太腿をこすり合わせると、ちゅくちゅくってエッチな音が聞こえ始める。 そんな英理を見ていると、私の方も我慢できなくなる。 「あっ……」 英理の肩を軽く押してベッドに押し倒す。 英理の肩を押さえ込んで強引にキスすると、徐々に身体から力が抜けて、私のなすがままになっていく。 「ちゅ……んっ……あ……むぅ」 唇を離すとほっぺにキスをして、そのまま顔を横へと移動させて耳を甘噛みする。 「ぁ……やだ、くすぐったいよ……」 恥ずかしそうに身をよじるけど、耳の周りにふうっと息を吹きかけると「ぁぁっ」なんていいながら気持ちよさそうに目を細めるんだ。 徐々に顔を下へと移動させて、うなじ、鎖骨とキスの雨を降らせる。 「あ……ぁぁ……」 唇が触れるたびに気持ちよさそうな声をあげ、うっとりとした表情になっていく英理を見て、また意地悪したい気持ちがムラムラと……。 「英理、ちょっと強くするよ」 強くしていい?とは訊かない。 英理の左のおっぱいの、ちょうど心臓の位置にキスをする。 「え……里彩、あっ!」 そのまま思い切り吸い付いた。 「っ!……ぅ……っ」 唇を離すと、そこには赤いキスの痕がしっかりとついていた。 英理の顔を見ると、目にうっすらと涙を浮かべ、ちょっと怒ったような顔で私を睨んでいた。 「…………痛かった」 英理は唇を尖らせて拗ねたようにつぶやいた。 「ごめんね」 もちろん悪いなんて思ってない。 子どもをあやすように頭をなでてあげると、すぐに機嫌をなおして「えへへ」なんて笑う。 「もっと痛くしちゃうけど、いい?」 「え……?」 「ココ……」 言いながら英理の股間へ手をやり、割れ目をなぞる。 「あ……」 ピクンと身体が震える。 「あ……ぁ……」 割れ目の付け根のあたりをこちょこちょとくすぐってあげると、英理は気持ちよさそうに目を閉じて甘い声をあげる。 「どう?気持ちいい?」 「うん……」 「ふふ、もっと触って欲しい?」 「…………もう」 そんなことを訊くと、顔を真っ赤にしながらも絶対にイヤとは言わない。 沈黙を肯定とみなして英理の股間がよく見える位置に移動する。 「膝を立てて、足を開いて」 「…………ぅ」 恥ずかしそうに視線をそらしながらも、私の言葉通りに股を開く英理。 こんな英理を知っているのは私だけなんだろうな。 でもそれは当然のこと。 英理は私のものなんだから。 「キレイ……」 英理の女の子は既にぐっしょりと濡れて、潤ったピンクの花びらを見たとき一番最初に浮かんだ言葉がそれだった。 「ゃ……」 「だめ……もっとよく見せて……」 足を閉じようとする英理を制して股間に顔を近づける。 「ゃぁ……」 まるで何かを待っているかのようにヒクヒクと切なげに震える英理のアソコ。 心なしか甘酸っぱいような匂いを感じて、鼻を近づけると、 「やだ、嗅がないでよ!」 本気で嫌がってるようなのでやめた。 「これだけ濡れてるから、大丈夫だよね?」 人差し指を英理の入口に当てる。 「ぅ……」 ビクリと身体が震える。 「怖い?」 「う……ん。でも…………里彩だから……いいよ」 割れ目を押し開き、ゆっくりと英理のナカに侵入していく。 「んっ!……ふ……」 暖かくて柔らかい感触が私の指を包む。 愛液で潤った秘肉をかき分けて、英理のナカを探っていく。 「ぁ……り、あぁ……」 「……見つけた」 膣壁とは違う、英理が“まだ”ということを証明するモノの感触を指先に感じる。 英理の顔を見ると、快感に蕩けた表情ではなく、不安に潤んだ瞳で私を見つめていた。 「英理……」 「う……いいよ……里彩になら……」 弱々しい声だったけど、その言葉には強い決意が込められていた。 「うん」 英理の勇気に後押しされるように、私は英理の処女膜に微かに存在する孔に指を引っ掛けて、少しずつ孔を大きくしていく。 「うっ!……つ……っ」 英理の顔が苦悶に歪む。 あまり長引かせてはいけない。 そう思った私は指先に力をいれ、一息に膜を引き裂いた。 「ぅああああっ!!」 ブツッという音が聞こえ、英理のナカから溢れていた愛液に赤い筋が混じる。 その破瓜の証しを見て私の心に最初に浮かんだのは、達成感と満足感を足して2で割ったような歓喜の感情だった。 だけどすぐに罪悪感に襲われた。 英理のすすり泣く声が聞こえたからだ。 「……英……理」 「ぅ……ぐすっ」 「ごめんね、痛かったよね……」 「ぅ……ちが……」 「我慢できなくて、つい乱暴にしちゃって……ごめんなさい」 「違うのっ!…………嬉しいの」 英理は笑っていた。 泣き濡れた顔で鼻をすすりながら、それでも笑っていた。 「嬉しいの……私、里彩のものに、なれたんだって……すごく痛かったけど、痛いのが……嬉しいの」 その表情を見ているうちに、だんだん私の心にムラムラした気持ちがよみがえってきて、 「あっ!……ぁぁあっ」 ナカに挿れたままの指を動かした。 「あ……はぅっ……んっ……ああっ!」 ますます愛液が溢れ出し、ぐちゅぐちゅとした音がよりはっきりと聞こえてくる。 「聞こえる?英理のアソコからエッチな音がしてる」 「やぁん……言わないで」 「そんなこと言わないで、ほら……ほら!」 「ぅあ……ああっ……あっ……あんっ!」 そんな風に恥ずかしそうにされたら、そんな風に気持ちよさそうにされたら、もう私も我慢できなるよ。 私もスカートと下着を脱いで、英理アソコに自らのそれを合わせた。 「里彩……あん!」 英里の痴態を見て、私のアソコもすっかり濡れそぼっていた。 お互いの股間を重ねると、くちゅりと、恥ずかしい音がした。 「英理、動かすよ」 英理の返事を待たずにアソコを英理にこすり付ける。 「あっ!あん……ああんっ!」 「んっ!英理……ああっ」 大事なところが擦れ合い、互いの愛液が混じり合い、与え合う快感に悦びの声が漏れる。 「はぁっ!里彩、もっと……もっとぉ」 もっと気持ちよくなりたくて、意識的にクリトリスを刺激し合うように体位を変えていく。 「あん!ソコ、いいよぉ」 勃起したクリトリスは、お互いが向き合っても触れ合える程に自らの存在を主張し、私たちは次第に抱き合うような体勢になっていく。 服が邪魔に感じて、着ているものを脱ぎ捨てる。 「里彩……ぎゅって、して」 私が脱いだのを見た英理がおねだりしてくる。 その言葉に誘われるように、英理を抱きしめた。 「ぁぁ……あったかい……あったかいよ、里彩」 抱き合いながら身体をずらして、胸と胸が触れ合うように調節する。 「あっ!」 乳首同士が触れ合うと、勃起した硬い感触が伝わり、たまらない気分になる。 「あっ、あっ……里彩……私、もう……」 乳首とクリトリスを同時に責め合い、英理は切羽詰ったような声を上げる。 「いいよ……っ……私も、だから……一緒に、ね」 だらしなく涎をたらす英理の唇をキスで塞ぎ、舌を捉えて絡ませ合う。 「んんっ!んー…っ!」 互いに互いの身体を貪り合い、同じ欲望をもった体の動きはシンクロし、同時に頂きへと上り詰める。 「ぷぁっ!英理、好きっ!すきぃっ!!」 「私も……あっ!あああっ!!!」 結局あのあと、英理の家に止まった。 ご両親が帰ってこないのをいいことに、英理の手料理を食べて、一緒にお風呂に入って、一緒に寝て……朝目が覚めると裸の英理が眠っていて、思わず寝顔に見とれていると起きちゃった英理は恥ずかしそうに布団で顔を隠す。 そんな英理が可愛くて、朝ごはんの前に朝ごはんじゃないものを貪った。 パジャマも下着も英理のものを借りた。 パンツはともかく、ブラのサイズが少しキツかったけど気にしない。気にしてはいけない。 ついでに制服も英理の予備を借りて、朝から英理の匂いに包まれて投稿できる私は大変ご機嫌だった。 「里彩……」 右手には英理の左手が握られている。 「ん?」 「呼んだだけ」 照れたように視線を外す英理を見て、既に今日数え切れない回数目の幸せな気分を味わう。 そんな私の気分を代弁するかのような晴天の中校門をくぐると、その瞬間日差しに影がさし、どこからか黒い雲が湧き出て青空を遮った。 「……羽角さん」 「湯上谷先輩、上月先輩……おはようございます」 余計なことをして私と英理の仲を裂こうとした先輩たちが私を睨んでいた。 「ちょっと……いいかな」 嫌だと言えば無理やりにでも引っ張っていかれそうね。 「ええ。英理は先に教室に行ってて」 「う、うん。……里彩」 重苦しい雰囲気を感じ取ったのか、英理は不安そうに私の手を握る。 「大丈夫だよ。すぐ行くから」 安心させるように笑って握り返すと、先輩たちと一緒に校舎へと向かった。 もう青空は黒い雲に覆われて全く見えなくなっていた。 「で……私に何か?」 校舎の中でも実験室や資料室が多いこの階にはほとんど人が来ることはない。 そんな寒々しいフロアの廊下で、私は先輩たちと対峙した。 私から見て右に厳しい顔をした湯上谷先輩が、左側に不安そうな顔をした上月先輩が並んでいる。 窓から見える空には重苦しい雨雲が広がり、どこからかゴロゴロと雷鳴すら聞こえる。 「高峰さんのこと……」 「ええ、私の恋人が何か?」 湯上谷先輩の発言を遮るかのように私は言葉を重ねた。 「やっぱり……ねぇ、そんなことしていいと思ってるの?!」 声を荒らげる湯上谷先輩を、私は正面から見据える。 「そんなこと……とは?」 カバンを右手に持ち替え、手持ち無沙汰となった左手を下ろし、人差し指をたてる。 「高峰さんに催眠術をかけたでしょう?!」 ストレートだなぁ。 まぁ回りくどい嫌いだし、そういうのは好感がもてるかな。 一瞬上月先輩を見たあと、目立たないように人差し指を左右に揺らす。 「ええ、かけてますよ。それにしても余計なことをしてくれましたね。私の英理に」 「そんなことしていいと思ってるの?!」 「先輩……大事なことだからって二回も言わなくていいです。ちゃんと聞こえてますから」 「じゃあ答えなさいよ!催眠術で友達の心を操って、自分のいいようにして、あなたはなにも感じないの?」 少し前なら、この質問に言葉を詰まらせたかもしれない。 でも、今は違う。英理を私のものにする。その決意が今の私にはあるから。 「悪いとは思ってますよ」 「じゃあ今すぐ高峰さんにかけた催眠を解きなさいよ!」 「でもそれ以上に、私は英理が欲しいんです。最初は遊びで催眠術をかけてました。でも、好きにできるんですよ?ずっと好きだったあの子を、自分の好きにできるんです!私のことを盲目的に愛してくれて、ずっと一緒にいてくれるんです!我慢なんてできるわけないじゃないですか!」 「じゃあ高峰さんの気持ちはどうなるの?」 痛いとこ突くなぁ。 左手の指は規則的に左右に揺れいる。 「高峰さんの気持ちを無視してエゴを押し付ける権利が、あなたにあるの?!」 「……英理は、女の子同士が付き合うなんて発想すらないみたいでしたよ」 「だったら!高峰さんがかわいそうじゃない!」 「かわいそうなんかじゃないです。今英理は私を愛してくれてます。もちろん私も英理のことが大好きです。催眠さえ解かなければ、みんなが幸せになれるんですよ。なんの問題が?」 「……詭弁だわ」 大きなため息をついて、湯上谷先輩は諦めたような顔をした。 「話しても無駄だったみたいね」 「そうですね。で、どうします?また英理の催眠を解きますか?言っておきますが、それなりに暗示は強化してありますから」 「方法がないわけじゃないわ」 「そうですね。でも、それはとても困るんです。……やめていただくわけには、いきませんか?」 「そうはいかないわ」 「そうですか。ではお隣の方がどうなってもいいと?」 「え?……未来ちゃん!!」 湯上谷先輩に呼ばれて上月先輩はハッとしたように私の左手から視線をはずした。 「や、やだ……私……」 「どうですか?結構上手でしょ?」 「あなた……!未来ちゃん、大丈夫?意識ははっきりしてる?」 「う……うん。ごめんね千紗……羽角さんの指を見てたら、つい……」 「それにしても結構簡単にかかりましたね。ちょっと指先に意識を集中させただけでトランス状態になるなんて、上月先輩って非暗示性が高いんですね」 「やめて……未来ちゃんに手を出さないで!」 上月先輩を庇うように湯上谷先輩が前にでる。 「ええ、別に上月先輩に興味はありません。私は私たちの平穏な生活を守りたいだけですから。先輩方が何もしなければ、私も何もしません」 「くっ」 「いかがでしょうか?」 「…………わかったわ」 悔しそうに視線を落とした湯上谷先輩を見て、勝った、と思った。 「それにしても、上月先輩の催眠のかかりやすさは天然のものですかね?」 「……どういう意味?」 「ご存知でしょう?普段からよく催眠をかけられてる人は非暗示性が高くなる。英理がお二人は付き合ってるんじゃないかって言ってましたけど、ひょっとして……」 「違うっ!!」 誰かに聞こえてしまうんじゃないかと思うほど大声で湯上谷先輩は否定した。 「違うっ!そんなことしてない!私は……私たちはっ!」 「ま、どうでもいいですけどね。私は英理といられれば満足ですから。お二人は二度と関わらないでくださいね。では」 「ま、待ちなさいよ!!」 ヒステリックに叫ぶ湯上谷先輩を無視して英理の待つ教室へと向かった。 角を曲がるときにちらっと、湯上谷が泣き崩れて、それを慰める上月先輩が見えた。 「未来ちゃん……私、私は……っ」 「大丈夫だよ。千紗の気持ちはちゃんと知ってるから」 「う……ぁ……ごめん、ごめんね千紗」 「うん……でも……羽角さん、かわいそうだね」 「え?高峰さんじゃなくて?」 「………………」 ―数年後 「はぁ……はぁ……」 「ふふっ、ずいぶんよさそうだったね。そんなに待ち遠しかった?」 「だって……けっこうご無沙汰で……」 「ふふっ」 ベッドに横たわって息を乱す英理をよそに、私は引き出しからメトロノームを取り出した。 「さて、英理……この音を聞いて」 留め具を外し、メトロノームを揺らす。 カチッ、カチッと規則的な音が響く。 「ぁ……、……」 英理の意識がトランス状態に落ちる。 もう何十回と繰り返してきただけに、落ちるのが早い。 「さぁ英理、鏡の前に立って」 「……はい」 英理はゆっくりと立ち上がって、部屋にある大きな姿見の前に全裸のまま立つ。 ピロートークもそこそこに催眠モードに入ったのにはわけがある。 今英理は私とのセックスで私への愛を再確認したばかり。その思いを英理の意識に上書きする必要があるからだ。 「目の前の自分を見つめて……意識はメトロノームの音に集中して」 うつろな表情で鏡の前に立つ英理。 「英理、今日私としたことを目の前の女の子に教えてあげて。私とナニをしたのか。それをあなたはどう思ったのか」 「はい……」 鏡に写った自分自身と見つめ合いながら、英理は私との生活を語り始める。 「今日は、里彩の仕事が休みだったから、一日中里彩とエッチしました。最初は私が里彩を気持ちよくしてあげたかったんだけど、里彩に触られてるとすぐにメロメロになってしまって、すぐに私がせめられちゃいます。そのことを言ったら里彩は、『じゃあ気持ちよくして』って言って、自分のアソコを私の目の前に……はぁ……」 「続けて」 「は、はい……それで私は、里彩のアソコをおクチで愛してあげました。舐めれば舐めるほどお汁が溢れてきて、里彩は気持ちよさそうな声を聞かせてくれました。そのうち私もムズムズしてしまって、空いてる方の手で自分を慰めてしまいました。一生懸命イクのを我慢して、里彩と一緒にイクことができました……はぁ……ぁ……」 「今も触ってるよ」 「あっ!ごめんなさ……」 「いいよ、そのまま鏡に写った自分を見ながらオナニーしなさい」 「は……はいっ……んっ……あっ」 「で、続きは?」 「ぁ……それで、里彩は『気持ちよかったよ』って言いながら、私の頭を撫でてくれました。心があったかくなりました。あっ……私は何度も大好きって言いながら、里彩の胸に顔を埋めて匂いを嗅ぎました。甘い香りがして……んっ、2回イったのにまたムラムラって……あ、ああん!里彩も私のこと、好きだよって……何度も……あっ!!」 ピクンと英理の身体が跳ねる。 軽く達したようだった。 英理とエッチしたあとはいつもこうやって、催眠状態にした英理を鏡の前に立たせて、自分の思いを再認識させる。 そうやってパソコンデータを上書き保存するように、私への恋心を自分自身の言葉で塗り重ねていく。 自らかける自己暗示は他人にかけられる催眠よりずっと強い。 もう私でも英理にかかっている暗示を解くことはできない。 永遠に英理は私のものだ! 「里彩ぁ……」 見ると英理がすっかり欲情した顔で私を見つめている。 もう何回目だったかしら? そんな英理を見てすっかりやる気になっている私も私だけど。 「あっ……あっ……里彩、好き……好きだよぉ」 「うん……好き、私も……っ、愛してる、英理っ」 これからもずっと続いていくであろうこの幸せな生活に、不満などない。 たったひとつだけ心残りなのは、私は最後まで英理自身の気持ちを聞いていない。 既に何度も上書き保存された英理の記憶には、もう催眠を知る前に私をどう思っていたかなんて残っていない。 一度催眠状態にして記憶を掘り起こして見たことがあったけど、どこまで遡っても英理は「好き」としか言わなかった。 そのことが残念と言えば残念だけど、まぁ必要のないものだし。 「里彩……もう、私っ……」 今私を愛してくれる英理がいれば、それでいいから。 「ああっ!里彩っ!」 「大好きだよ英理。ずっと、そばにいてね」 『私だって……ずっと…………』 < END >
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