岩手・大槌町で、がれきを利用した町づくりが始まりました。
東日本大震災で甚大な被害を出した岩手・大槌町は、今、桜の見頃を迎えています。
満開の桜が見守る中、処理が難航しているがれきを利用した、全国初の町づくりが始まりました。
岩手めんこいテレビの野牛 あかねアナウンサーの報告です。
岩手・大槌町の城山公園で先週から咲き始めた桜は、連休の前半に満開となった。
城山公園は、大槌町の中心部の高台にあり、震災の時には、ここに多くの人が避難した。
2011年は、桜を眺める余裕がなかったが、2012年は、町の人たちが花見をする様子が見られた。
しかし、町のほうを見ると、がれきが高く積まれている。
大槌町で発生した震災のがれき70万トンのうち、この1年間で処理できたのは、たったの2万トンだった。
広域処理が思うように進まない中、大槌町では、このがれきを使って防潮堤を造る、全国で初めての取り組みが始まった。
津波が遡上(そじょう)した小鎚川沿いに造られた防潮堤。
4月30日、細野環境相や地元の人およそ500人が、この防潮堤に3,000本余りの広葉樹の苗木を植えた。
防潮堤の高さは、およそ5メートル、長さ50メートルで、盛り土には10トントラックおよそ100台分の震災がれきが埋められた。
植樹した木は、10年後には10メートルの高さに成長し、命や財産を守る働きをする。
横浜国立大学の宮脇 昭名誉教授は「がれきを地球資源として、毒を排除し、使えるものは使う。命の森づくりをする。その第1回の最初の例が、この大槌町」と語った。
城山公園からも、がれきでできた防潮堤を見ることができる。
被災者にとって、このがれきは、単なる災害廃棄物ではなくて、生活の一部だったもの。
このがれきでできた防潮堤が、今後、震災を語り継いでいく存在になることも、期待されている。
そして、町の復興の様子は、桜も見守ってくれている。
町では、小鎚川沿いに防潮堤を600メートル造る予定。
また町では、ここをモデルケースにして、全国にこのがれきの防潮堤を発信していきたいと話している。