株主第一主義では社会が回らない
米国は今、反省して、かつての日本を目指している。米国が反省を始めたものの一つに、株主第一主義がある。
米国は「会社は株主のもの」という考えを推し進め、それを日本にも真似させようとしてきた。日本も少しは真似したけれども、最近になって合わないことが分かってきた。米国の場合、会社は財産承継で考える。しかし、日本は事業承継で考える。会社は事業であり、その事業が親から子どもへ、あるいは親分から子分へと受け継がれる。
そういう考えが米国にはなくて、財産が親から子どもに受け継がれる。会社は売買できる「モノ」だというのが米国の考え方で、商法の規則や裁判制度などもそういうふうに出来ている。
その影響を受けた日本の馬鹿な連中が、米国に倣って商法の改正などを行ったものだから、日本の中小企業はイヤになってしまった。事業として子どもに譲ろうと思って、子どもに仕込んでいたけれども、継承できないならそんなことをする意味がない、子どもの側も逃げてしまう。これでは、日本経済が消えてしまう。
今ようやく、日本国内でも事業承継をきちんとできるように、税金や法律を変えようというふうになりかけている。米国もそちらに戻りつつある。事業というのは社会全体のものであり、みんなが絡み合って動いていくものである。それを売ったり買ったりしても、今まで通りに動くとは限らない。そのことに、米国もやっと気がついてきたのだろう。ただし、事業を分割して売買し、再統合が生まれるなら良いことだと思う。
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