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2012年5月8日(火)付

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欧州の転機―指導者が担う重い責務

財政健全化のために緊縮策を進めれば、有権者から批判される。民意に寄り添って雇用や社会保障への人々の不満を解消する政策に乗り出そうとすると、市場から制裁を受ける。グローバ[記事全文]

夏の節電―関電こそ先導すべきだ

関西電力の夏の電力需給が見通せないまま、時間が過ぎている。大飯原発が再稼働しなくても、夏を乗り切らなければならない。安定供給に責任を負う関電は具体的な選択肢を示し、企業[記事全文]

欧州の転機―指導者が担う重い責務

 財政健全化のために緊縮策を進めれば、有権者から批判される。民意に寄り添って雇用や社会保障への人々の不満を解消する政策に乗り出そうとすると、市場から制裁を受ける。

 グローバルな金融市場が国の命運を牛耳るような時代にあって、政治指導者が担う使命はきわめて難しく、責任は重い。

 フランス大統領選で社会党のオランド氏が現職のサルコジ氏を破って、初当選した。

 欧州の債務危機を乗り切るため、サルコジ氏はドイツのメルケル首相らと連携して欧州連合(EU)による緊縮財政政策を主導してきた。しかし、経済の停滞感は払拭(ふっしょく)されず、雇用は不安にさらされている。そんな不満がサルコジ氏の再選への野望を吹き飛ばした。

 オランド氏は危機脱却への成長戦略が不十分だと訴えて支持を広げた。社会的公正や平等を重視する姿勢には共感するが、その主張には危うさもある。

 例えば教職員6万人の新規採用を打ち出している。また、EUの加盟25カ国が最近まとめた財政協定に成長戦略を組み込むよう再交渉を求めている。

 「大きな政府」による解決が最善とは思えない。成長戦略が必要だとしても、財政健全化を遠ざけ、独仏連携を揺るがすような要求なら、たちまち金融市場の逆襲を受けるだろう。

 選挙を通じて政権を交代させても、直面する課題がすぐに消えるわけではない。ともすれば有権者も政治家もそのことを忘れてしまいがちだ。それがいまの民主主義の姿だ。

 そんな困難な時代を乗り越えるには、現実の厳しさを直視することから出発するほかない。

 ユーロ圏17カ国の平均失業率は3月、過去最悪の10.9%を記録した。スペインやギリシャでの若者の失業率は50%近くに達している。

 ギリシャで行われた総選挙では、緊縮財政を進める2大政党がともに惨敗し、債務返済を拒否する小政党が急伸した。連立政権づくりの行方によっては金融不安が再燃しかねない。

 欧州各国では、緊縮財政を掲げる政権政党が相次いで退場している。ただ、債務危機の再燃は避けなければならない。

 首脳間の対話を進め、財政規律への道筋と決意を金融市場に示す。雇用創出策を進めつつ、必要な痛みを分かち合うよう人々を粘り強く説得する。

 オランド新大統領やギリシャの新指導者にはそうした努力が求められる。そして、これが欧州に限った話でないことは言うまでもない。

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夏の節電―関電こそ先導すべきだ

 関西電力の夏の電力需給が見通せないまま、時間が過ぎている。大飯原発が再稼働しなくても、夏を乗り切らなければならない。

 安定供給に責任を負う関電は具体的な選択肢を示し、企業や家庭に協力を求める立場だ。

 ところが関電は大飯の再稼働の必要性を強調する一方で、それがない場合の手だては不十分だ。これでは責任を果たしているとは言えない。

 「具体策を示さず、再稼働へ向け時間切れを狙うのか」

 4日に開かれた大阪府・市のエネルギー戦略会議では、出席した関電幹部に委員から厳しい意見が相次いだ。自治体側の声を重く受け止めてほしい。

 火力発電の燃料費がかさみ、昨年度、関電は過去最大の赤字となった。企業としての台所事情はわかる。

 だが、再稼働に対して関西では依然、慎重な声が多い。

 提言・提案を出した京都府と滋賀県、大阪府・市だけではなく、2府5県などでつくる関西広域連合も安全対策などを政府に申し入れた。

 関電は発想を転換し、夏を乗り切るために必要な情報を出し、自治体と対話すべきだ。

 自治体側も、需要抑制のために連携して乗り出している。

 関西広域連合の会合では、大阪市の橋下徹市長が関西の住民に1カ月1千円の節電税を課して、節電に協力した企業に奨励金を出す構想を示した。

 利用者の覚悟や認識を深めるために、様々な手段を論議することは有意義だ。

 広域連合では大阪、京都両府や滋賀県などの担当者でチームをつくり節電策を検討中だ。

 関電もようやく需要抑制の対策に動き出した。

 ピーク時料金の値上げとオフピークの値下げ策がその一つ。使用電力を減らせば、同じ分を発電したものとみなす「ネガワット」を導入し、家庭や企業が節電分を取引できる市場の創設も考えている。

 利用しやすいプランを、一日も早く示してほしい。

 おととしの夏並みの猛暑となった場合、関電によると16.3%の電力が不足する。西日本全体では3.6%の不足という。

 だが電力使用がピークとなる日時は地域によって違う。大阪が猛暑でも九州が平年並みなら電力各社の融通幅も広がる。

 昨年から電力会社間の融通が弾力的にできるようになり、東日本では融通が頻繁に行われている。西日本でも広域送電網を駆使して、停電を回避する手だてにしたい。

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