フランス大統領選の決選投票で、フランソワ・オランド候補(57)が現職のニコラ・サルコジ大統領(57)を破って当選した。17年ぶりの社会党政権である。一方、ギリシャの総選挙では連立政権を組んで財政再建を進めていた二大政党の退潮がはっきりした。
どちらの結果も、債務危機のただ中にある欧州の有権者が緊縮財政策に不満を表したと受け止められている。市場も敏感に反応し、円高・ユーロ安、株安に振れた。
両国、特にドイツとともに欧州連合(EU)の歩みを主導してきたフランスの今後が気になる。おそらく、対独協調を基本とするEU重視の現実的な政策は大きく変化しないだろう。無用に不安視する必要はないが、新政権の動向には注意を払っていきたい。
仏大統領選は、ドイツとの二人三脚で債務危機対策に奔走するサルコジ氏と、財政規律一辺倒を批判するオランド氏の対決という構図で語られることが多かった。しかし、選挙運動ではどちらも人気取り政策を前面に出し、その意味では五十歩百歩だった。
確かにオランド氏は富裕層や大企業への課税強化、財政規律徹底を目指すEU新条約の見直しなど、経済面で有権者に口当たりのいい公約を掲げた。それが支持された部分もあろうが、5年間のサルコジ政権への不満が国民に強かったことが最大の勝因だ。
新政権の試金石は対独関係だろう。どの党が政権を取ろうと、フランスの最優先はドイツとの協調である。独仏関係の揺らぎはEUの不安定化に直結する。
ギリシャの選挙結果もみれば、EUがより難しいかじ取りを迫られるのは明らかだ。また、欧州内には依然ドイツ一国が強大になることへの懸念がある。対仏協調はドイツにとっても大切なのだ。
選挙後、オランド氏はさっそくメルケル独首相と協議を始めた。15日の就任式直後に訪独するともいう。EU新条約などをめぐる独仏の溝が表面化すれば、債務危機への不安に油を注ぐことにもなる。実務家とされるオランド氏とメルケル首相は、ことさら関係に波風を立てる愚は避けるだろう。
フランスは6月に国民議会(下院)選挙が控えており、新政権は当面、人気を意識した政策を唱え続けることが考えられる。しかし、財政再建が喫緊の課題であることは疑いえない。そのことはオランド氏も承知のはずである。
ニコラ・サルコジ、メルケル、EU
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