143号 第1会議室 (2001/12/10)up down
   ● 政治団体を設立する
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 「政治団体」というと,選挙関係者にとっては特に変な感じを受けることもないのでしょうが,選挙にあまり関わることのない一般人にとっては「非常に縁遠い」,ともすれば「あやしい団体」というイメージがついて回るものでもあります。

 一般的なイメージはともかく,今現在での政治団体の定義は,ただの「政治に関わる団体」ではなく,「政治資金規正法に制限される団体」ということになっています。では,その政治団体は,具体的にどういう団体なのか?,誰が作るのか?,について見ていきましょう。

□政治団体とは

 政治団体とは,政治資金規正法によると次のような団体のことをいいます。

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(1)政治上の主義や施策を推進したり,支持したり,反対することを本来の目的とする団体

(2)特定の政治家を推薦したり,支持したり,反対することを本来の目的とする団体

(3)上記以外の団体で,次のような活動を主たる活動として組織的かつ継続的に行う団体
  ・政治上の主義や施策を推進したり,支持したり,反対すること
  ・特定の政治家を推薦したり,支持したり,反対すること

(4)政治上の主義や施策を研究する目的を有する団体で,国会議員が主宰するものまたはその主要な構成員が国会議員であるもの
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 上記の(1)〜(4)は少し堅苦しい表現が用いられていますが,(1)は政党,(2)は後援会といったものだとイメージしていただければよいのではないでしょうか。

 わかりにくいのは(3)と(4)でしょう。
 (3)は,「△△後援会」「○○を応援する会」といった一目で政治家の後援会とわかるもの以外で,「××政策研究会」といった名称を用いるなど,外見的には経済団体・文化団体など政治上の目的以外の目的を掲げているような団体でも,実質的には政治活動や後援会活動を組織的かつ継続的に行っている団体のことです。

 ただし,経済団体・文化団体・労働団体が,選挙の時に限って,特定の候補者を推薦したり支持する場合はここでいう政治団体には該当しません。

 (4)は,政党内の派閥や議員連盟のようなもので,「みなし政治団体」と呼ばれるものです。これは,こうした団体が寄附を募ったり,パーティーを開催するなど資金集めを行っていることを考慮して,その透明性を確保するために政治団体として扱われています。


 これらをまとめて,解説書等での政治団体の定義は,次のようなものがよく用いられています。多少,こちらの方が意味がはっきりしていると思います。

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政党:
政治団体のうち,国会議員が5人以上所属していること,前回の衆議院議員総選挙における小選挙区選挙・比例代表選挙または参議院議員通常選挙における選挙区選挙・比例代表選挙で得票率が全国を通じて2%以上であること,のどちらかの要件をみたすもの。

政治資金団体:
政党のために資金を援助することを目的とした団体で,政党が1団体に限り指定したもの。

資金管理団体:
政治家のために政治資金の提供を受けるなど,政治資金を取り扱う団体で,政治家が代表者である政治団体から1つを指定したもの。

その他の政治団体:
上記の3つ以外の政治団体で,政治家の後援会やそれぞれの主義・主張を掲げて活動しているもの。
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□政治団体の設立

 政治団体は様々な制限を受けます。
 例えば,受けられる寄附の量的な制限(金額の上限など)や質的な制限(国や地方公共団体から補助金や出資を受けている会社,外国人・外国法人からの寄附の禁止など),政治資金パーティー開催に関する制限,収支報告書の作成と提出といったものです。

 このように政治団体は,政治資金規正法によって,主に政治とカネの流れをはっきりさせ,その透明性や健全性を確保することを義務づけられています。


 また,その一環として,政治団体は設立を届出することが義務づけられています。

 政治団体の届出は基本的には都道府県の選挙管理委員会に対して行います。
 ただし,政党,政治資金団体,2以上の都道府県で活動する政治団体,主たる事務所が所在する都道府県の区域外でその活動を主に行うような団体は,都道府県選管が窓口となりますが,最終的には総務大臣の所管となります。

 政治団体は成立してから7日以内に,設立届を郵送ではなく,持参することによって都道府県選管に提出しなければなりません。

その際,設立届には,

・名称
・政治団体の種類
・主たる事務所の所在地
・主たる活動区域
・代表者(氏名,住所,生年月日など)
・会計責任者,その職務代行者

等々を記入します。

また,設立届の提出と同時に以下のような添付文書を提出する必要があります。

・綱領,党則,規約その他これに相当するもの
・政治献金に係る課税上の優遇措置を受けようとする場合は被推薦書
※政党などの場合はその他に必要な文書があります。

 日本国憲法では結社の自由が認められています。
 したがって,政治団体は誰でも自由に設立することがあります。
 すでに政治活動をされている方の多くは,これらの実務をされた経験をお持ちだと思います。

■総務省 政治資金規正法に関する届出
http://www.soumu.go.jp/tetsuzuki/menu-14.html

■香川県 政治団体設立届の書式とサンプル(自治体ごとに書式は違います。他都道府県に出しても受け付けられないでしょうが,雰囲気だけでも)
http://www.pref.kagawa.jp/form/256.htm



□実は政治団体

 上で述べてきたような政治団体の定義はありますが,政治団体の中身というものは,それだけではわからないところがあります。

 まず表面部分の話から行きますと,団体の名前を聞いた段階では,およそ政治とは無関係な雰囲気を漂わせているのに,実は政治団体だった,という例があります。
 具体的には名前は伏せますが,とある医療系の団体とか,ある学校のOB会のような団体とか,○○フォーラムとか○○シンポジウムとか○○研究会とか。

 名前の効力とは恐ろしいもので,先の医療系団体などは,病院側が「政治団体とは知らずに」,公費分から寄付金を出してしまったというので,以前に問題にもなりました。
 他にも,名前からして右とか左に翼が生えてる団体とか,漢字2文字が音読みの○○会とか,見た目がくっきりしていて,まだわかりやすい団体もあります。

 これらは名前の問題なので規制のしようがありませんが,根本的には「政治団体」の名称が表に出ないのが問題なので,この辺は改めてもらいたいところではあります。


 それで,肝心の活動の方はというと,これもただ見せ物用の有名無実の団体から,裏で他の非政治団体と密接な関わりがあって,悪く言えば利益誘導や糸を引く活動,良く言えば設立目的をきちんと果たしている団体まで,ピンからキリまであげられます。

 もちろん,問題のある団体ばかりではなく,きちんとした団体はきちんとしています。選挙で政治家を応援するのはそうですが,それ以外の時期でも勉強会に講演会,奉仕活動などの社会活動を随時行っている団体もあります。
 とにかく,名前や支援している政治家だけではなく,中身を見極めることが政治団体を知る第一歩ということはいえるでしょう。

松井


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