トヨタが急加速の損害賠償訴訟で勝訴-米連邦地裁
5月4日(ブルームバーグ):トヨタ車の急加速問題で米国内の所有者がトヨタ自動車を相手取って損害賠償を求めていた裁判で、米カリフォルニア州の連邦地裁は4日、フロリダとニューヨーク両州での大半の訴えを退け、トヨタ勝訴の判断を下した。原告はトヨタがこの問題に関連した不具合を修理もしくは情報開示しなかったため、保有する同車の経済的価値が低下したなどと主張していた。
同地裁のジェームズ・セルナ判事は、フロリダ州の原告は意図しない急加速を実際に経験していない限り、経済的損失をめぐってトヨタを訴えることはできないと指摘した。これは4月示した暫定判断に沿った内容で、ニューヨーク州の原告についても、急加速の経験や保有する車を売買しようとする際に測定可能な損失が生じなかった場合には、訴えを起こすことはできないと判断した。
リッチモンド大学(バージニア州)のカール・トビアス教授は、今回の判断は両州の原告による「経済的損失に関する訴えの大半」に適用されると指摘するとともに、「原告適格者は非常に少なくなるとみられることから、共通の当事者グループ(クラス)に一本化するのは一段と難しくなる」との見通しを示した。
両当事者側の弁護士は4月23日の弁論で、こうした判断が下された場合、数百万人のトヨタ車オーナーは提起した訴訟を断念することになろうと話していた。セルナ判事はこれに先立ちカリフォルニア州の原告は意図しない急加速の経験がなくても、同州法に基づき経済的損失を請求できるが、他州では適用できないとの判断を示していた。
原告側弁護士は「失望」原告側主任弁護士、スティーブ・バーマン氏は4日電子メールで、「セルナ判事が当事者グループのメンバーに対し、カチカチ動く時限爆弾を運転してから訴えを起こすように求めたことに失望している」とした上で「数千件の事故」や「トヨタが修理できないことなどを考慮すれば、われわれはニューヨークやフロリダ州の裁判所が同意するとは思わない。これらの州の最高裁に持ち込むつもりだ」などと語った。
一方、トヨタ側はこれまでのところ、この日の判断に関するコメントを明らかにしていない。
トヨタは意図しない突然の加速が引き起こしたとされる事故などの報告を受け、09年から米国で少なくとも800万台をリコール(無料の回収・修理)した。その後米国では、トヨタを相手取り、経済的損失や死傷事故の賠償を求める数百件の訴訟が起こされている。
原題:Toyota Gets Most Florida, New York Speed-Up Claims Dismissed(1)(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:デトロイト Margaret Cronin Fisk mcfisk@bloomberg.net
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更新日時: 2012/05/05 14:05 JST