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医療新世紀
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2012.04.24

医療現場の節電に難しさ
日医総研がアンケート

 東日本大震災と原発事故による計画停電や節電の影響は医療機関にも及んだ。日本医師会総合政策研究機構 (東京)の鮫島信仁研究員が実施したアンケートで、医療現場での節電の難しさが浮き彫りになった。
2012.0424navi.gif 回答のあった東京電力管内計273の病院・診療所のうち、48%で計画停電が実施された。
 「救急患者を受け入れられない」「検査や透析ができない」といった支障のほか、投薬や電子カルテ、処方箋処理のシステムが停止。「エレベーターが止まり搬送、配膳が困難」「ポンプが止まるため水をくみ置きした」などの影響もあった。
 また、節電について全国776の病院から得た回答では、空調の温度管理(91%)、照明をできるだけ消す(76%)―などを実施したが「高齢者を多く抱え、安全面から問題がある」などの苦しい声も寄せられた。
 停電に備える自家発電の調査では「火災など非常用のみ」と「照明など保安用のみ」が合わせて33%。「医療のための発電容量を備えている」と答えた医療機関も大病院を中心に67%あったが、12時間以上の運転ができるのは、このうちの半数に満たなかった。
 医療機関ではそもそも、外来診察中の電力使用に目立ったピークがなく高原状態を保つことも判明。同機構では今後、中規模の病院で用途別、時間別の使用実態を詳細に調べ、さらなる節電が可能かを探る方針だ。
 日本医師会は「救急患者のほとんどを受け入れているこれらの病院、診療所が停電すれば影響は大きい」として、電力確保への配慮を要望。今村聡副会長は「自家発電を増強するにも経費やスペースの面で難しいケースも多い。国には補助や税制上の配慮を求めたい」と話した。