福井県の総合ニュースサイト 福井新聞オンライン


全国の速報

福井のニュース  原発再稼働問題

電力需給中長期展望なく再稼働混迷 政府、原発の必要性示しきれず

(2012年5月6日午前9時34分)

 再稼働をめぐり地元でも関西でも反対、不安の声が強い理由の一つは、4月を予定していた原子力規制庁の発足の遅れにある。設置のための法案が国会に提出されているが、組織の独立性などをめぐる与野党の対立で審議すら始まっていない。

 規制組織が十分機能しない現状での国の再稼働要請に対し、福井県おおい町での住民説明会では「拙速」との批判を招き、京都、滋賀両府県知事の7項目の提言でも規制庁の早期設置を求めている。西川知事も規制庁設置までは「原子力安全委と保安院がしっかり原子力の安全に取り組んでもらわないと地元としては困る」と苦言を呈している。

 安全性とは別に「必要性」についても、政府は十分に説明し切れていない。今夏「非常に厳しいレベルの電力不足に直面する」(牧野聖修経済産業副大臣)はずの関西が、節電や計画停電を心配する以前に、需給見通しに疑問を呈するという構図だ。

 先の説明会でおおい町の女性は「立地地域が悪いように言われている」と語り、原発の電力を消費してきながら再稼働に反発する関西への不満をあらわにした。

 さらに、短期的な需給にとどまらず、中長期的にどの程度の電力を原子力でまかなうか、政府の方向性が定まっていないことで、議論は拡散。再稼働の必要性をどこに見いだすか、国と福井県の認識はずれている。関西圏の主張も、再稼働問題と将来の脱原発依存が混線している。

 政府は「やや短期の大飯3、4号機の稼働と、長期の脱原発依存の話は少しフェーズ(局面)が違う」(今井尚哉資源エネルギー庁次長)との考え。一方で、夏をめどに進めるエネルギー基本計画見直しでは、2030年の発電電力量に占める原子力の割合をめぐり議論百出で、着地点は見えていない。

 県は将来的な産業やエネルギーの基本にかかわる問題としてとらえるべきだとの姿勢。地元に協力を求めた政府自らが再稼働の必要性を説明しきれず腰砕けになり「はしごを外されかねない」とも警戒する。先の枝野経産相との会談で西川知事は「ぶれることなく国民の理解を得るよう努めていただきたい」とくぎを刺した。

 

■スマホ、タブレット型端末で読める!「検証 福井の原発は安全か」のご案内
■福井新聞社のiPad版電子書籍「終わりなき衝撃 福島第1原発事故の10日間 原発立地県福井の報道」のご案内

福井のジャンル

福井新聞ご購読のお申し込み 福井新聞電子版購読のお申し込み

ニュースランキング

弔電サービス「わたっくす」

ぷりん

福井新聞文化センター 風の森倶楽部


〒910-8552 福井県福井市大和田町56

TEL:0776-57-5111

本ページに掲載の記事・写真などの一切の無断掲載を禁じます。