原発再稼働の見通しが立たないのは、国の方針が二転三転し、原発の立地自治体の同意も得られていないことが原因だ。
東京電力福島第一原発の事故が起きた約3週間後の昨年3月末、経済産業省原子力安全・保安院は、事故を踏まえた緊急安全対策を電力会社に指示した。
対策が講じられたことが確認できれば再稼働は可能、との見解のもと、海江田万里・経産相(当時)は6月、原発の安全宣言を出し、九州電力玄海原発がある佐賀県の古川康知事を訪れて再稼働を求めた。
ところが、事故の検証が未実施で安全基準が示されていないとして、商用原発13基を抱える福井県などから時期尚早の声が上がった。そこで菅・前政権は7月、ストレステスト(耐性評価)の導入を表明。原発の安全性を1次評価で確認して、再稼働の是非を判断することになった。
再稼働には、電力会社の1次評価報告書を保安院が審査して、内閣府の原子力安全委員会(班目〈まだらめ〉春樹委員長)が確認することが必要。10月以降、審査と確認が終了した大飯3、4号機も含め、電力会社から19基分の報告書が提出された。