Updated: Tokyo  2012/05/07 10:02  |  New York  2012/05/06 21:02  |  London  2012/05/07 02:02
 

最後の原発1基が停止、42年ぶり稼働ゼロ

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  5月7日(ブルームバーグ):全国で唯一稼働していた北海道電力の泊原子力発電所3号機が、定期検査のため5日深夜に停止した。50基ある国内原子炉のうち発電を続けている原発はなくなった。全ての原発が止まるのは42年ぶり。

同電力広報部の高田聡報道課長が6日、ブルームバーグ・ニュースの電話取材で「5日午後11時3分に3号機の発電を停止した」と述べた。6日午前4時には核分裂が全て停止し、原子炉が止まった。7日には原子炉が冷えた冷温停止状態になる予定という。

原発は13カ月に1回、点検のために停止することが定められている。東京電力福島第一原発の事故以降、東日本大震災の影響を受けず稼働を続けていた原発は順次定期検査入りした。政府は関西電力大飯原発3、4号機の再稼働に向けて地元から同意を取り付けるため手続きを進めているが、困難を極めている。

原発立地の地元や周辺自治体、住民などの安全性に対する懸念が根強いうえ、再稼働には耐震安全性などを審査するストレステストや閣僚の判断が必要になるなどハードルが高くなったため、全ての原発が稼働停止の状態に至った。電力各社は燃料費のさらなる増加や、夏のピーク時の節電要請など需給調整で一層厳しい状況に直面しそうだ。

電気事業連合会によると、国内で原子炉が2基以上に増えてから全てが同時に停止されるのは1970年5月以来。当時の日本は国内最初の商業用炉だった日本原子力発電の東海発電所と、敦賀原発1号機の2基体制で、両基が定期検査に入ったため同年4月30日から5月4日まで稼働停止となった。

政府が先月開催した電力需給をめぐる第三者委員会では、電力需要に対する供給余力を示す供給予備率は今夏、マイナス0.4%になるとの見通しを示した。個別に見ると関電の予備率がマイナス16.3%(495万キロワットの供給不足)と最も低い。

大飯原発再稼働でも電力不足

中部、北陸電力以西の西日本地域は全体でマイナス3.6%(343万キロワットの不足)と、大飯原発3、4号機(出力は計236万キロワット)が再稼働できたとしても電力不足を補えない水準と予測されている。枝野幸男経済産業省は4月17日の会見で、今夏に「計画停電の計画を立てるということは関西に限らずあり得る」との認識を示した。

さらに、稼働原発ゼロの状態が続けば、核燃料の調達費用は減少するものの、それを上回る液化天然ガス(LNG)や原油など代替用燃料のコスト増が電力各社の経営を圧迫する。政府が4月に示した試算によると、原子力の利用率が66.8%だった2010年度の電力9社の燃料費は約3.6兆円だった。

稼働率が25%まで下がった11年度には、燃料費は約5.6兆円に増加。このまま原発の運転再開がなければ12年度の稼働率は0.2%となる。原油価格が1バレル=130ドル程度まで上昇すれば、燃料費は7兆円まで膨らむと政府は試算している。

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Alexander Kwiatkowski akwiatkowsk2@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net

更新日時: 2012/05/07 00:01 JST

 
 
 
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