泊原発3号機検査へ 全原発が停止に5月4日 18時15分
国内で唯一運転を続けている、北海道にある泊原子力発電所3号機について、北海道電力は、5日、発電を止めて、定期検査に入ります。
この結果、国内にある原発は、50基すべてが停止することになります。
北海道泊村にある泊原発3号機は、国内で唯一運転を続けている原発で、北海道電力は、5日の午後5時ごろから原子炉の出力を下げる作業を始め、午後11時ごろに発電を止めて、定期検査に入る予定です。
また、6日午前2時ごろには原子炉を止める見通しです。
国内の原発は、東京電力福島第一原発の1号機から4号機が法律上廃止されたことから、50基となっていて、泊原発3号機が停止すると、50基すべてが停止することになります。
国内で原発の運転がすべて止まるのは、原発が2基だけだった昭和45年以来、42年ぶりになります。
一方、運転再開を巡って、電力各社は、全国の原発19基について、再開の判断の前提となっている「ストレステスト」を国の原子力安全・保安院に提出しています。
しかし、政府が、原発の安全性と運転再開の必要性を確認したとして、地元福井県などに理解を求めている関西電力大飯原発の2基を含めて、再開の見通しが立っている原発はありません。
また、電力需給を巡って、関西電力と九州電力、それに北海道電力は、おととし並みの猛暑になれば電力が不足すると説明していて、国が第三者委員会を設け、検証を続けています。
夏を前に 政府の“説明”問われる
去年3月11日の東京電力福島第一原発の事故の前には、国内の原発は37基が運転していましたが、東日本大震災の影響や、13か月に1度行われる「定期検査」のため、相次いで停止してきました。
そして、3月下旬に、新潟県にある東京電力柏崎刈羽原発6号機が停止して以来、泊原発3号機が、国内で唯一、運転を続けています。
すべての原発が運転を止めるのは、原発のれい明期だった昭和45年に、日本原子力発電の東海原発と敦賀原発1号機の2基が同時に停止して以来、42年ぶりになります。
一方で、運転再開を巡っては、全国の原発19基が、再開の判断の前提となっている「ストレステスト」を国の原子力安全・保安院に提出していますが、保安院の審査が終わっているのは、関西電力大飯原発と四国電力伊方原発の合わせて3基のみとなっています。
また、政府が安全性と必要性を確認したとして、地元福井県などに運転再開の理解を求めている大飯原発について、福井県は、専門家が参加した会議などで検討しています。
しかし、地元、おおい町で先月26日に開かれた住民説明会で、一部の人から運転再開に前向きな意見も出されましたが、原発の安全対策への不安や国の対応に対する不信の声が相次ぎました。
また、福井県の隣の京都府や滋賀県が、国の新たな規制機関「原子力規制庁」の早期の設置や運転再開についての説明などを求めた7つの提言を発表し、再開に慎重な姿勢を崩していません。
一方、電力需給について、電力各社は、おととし並みの猛暑になれば、各地で電力が不足すると説明し、国が検証を続けていますが、「供給力が少なく見積もられている」、「電力会社が示すデータが十分でない」といった疑問の声も少なくありません。
大飯原発を巡って、政府は、福井県側の回答を待って、運転再開の是非を最終的に判断するとしていますが、政府が、電力需要が高まる本格的な夏を前に、原発の安全性や必要性を国民にどのように説明していくのかが問われています。
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