東北のニュース
あす全原発停止 東北電力、再稼働見通せず
北海道電力の泊原発3号機(北海道泊村)が5日、定期検査に入り、国内の全原発が停止する。東京電力福島第1原発事故を受け、政府は再稼働に新たな判断基準を導入した。東北では、東北電力が女川1〜3号機(宮城県女川町、石巻市)と東通1号機(青森県東通村)について、「安全対策を積み重ね、地元理解を得たい」と再稼働を目指すが、運転再開時期は全く見通せない。
東北電は、震災による設備被害がなかった東通原発の再稼働を優先させたい考え。 昨年12月、安全評価(ストレステスト)結果を国に提出した。想定した基準地震動(450ガル)の2倍の揺れや、想定の8.8メートルを上回る15メートルの津波が発生しても重大事故を防げるとした。 国が4月、再稼働の可否を判断するために提示した三つの安全基準は表の通り。東北電は東通原発がストレステストの結果などから「基準1と基準2を満たした」との見解を示す。 ただ、国によるストレステスト結果の妥当性審査は遅れている。4月に発足予定だった新たな規制機関「原子力規制庁」の設立めどが立たないことなどが理由だ。3月に審査に入ったまま中断、終了時期は見通せない。 女川原発の再稼働時期はさらに不透明。1〜3号機は震災発生時に無事に冷温停止したが、一部設備が損傷し、東北電は3号機タービンの部品交換など大掛かりな復旧作業を進めている。 震災では基準地震動を上回る揺れを観測した。東北電は基準地震動の数値見直しも視野に地震や津波の評価作業を実施中で、ストレステストの評価結果を国に提出できる時期もはっきりしない。 国内の原発全基停止について、東北電の海輪誠社長は4月27日の記者会見で「震災後も、エネルギーの安定供給や二酸化炭素排出抑制という点で、原発の意義は変わらない」と述べ、再稼働の必要性を強調した。
<今夏電力、融通は期待薄>
国内の原発稼働ゼロは、東北電力の電力需給に影響を及ぼしそうだ。同社は東日本大震災後、北海道電力と東京電力などから電力融通を受けて夏と冬のピーク需要期を乗り越えた経緯がある。原発停止で北電、東電ともに余力を失っており、今夏の融通は期待できないのが実情だ。 東北電は、北電と最大約60万キロワット、東電とは最大約330万キロワット、それぞれ電力を融通し合える「連系線」を持っている。震災や新潟・福島豪雨の影響で供給力が大きく低下した東北電は昨夏、最大で約170万キロワット、続く冬にも最大約30万キロワットの融通を受けた。 東北電が4月23日に公表した今夏の受給見通しによると、8月のピーク時の供給余力を表す予備率は、猛暑でも節電効果を見込めば、2.9%とプラス予測だが、最低限必要とされる3%は下回る。火力発電所の緊急停止など不測の事態も懸念される。 同社は「余力は脆弱(ぜいじゃく)で、他社からの融通も非常に厳しい」として自社の供給力アップに努める方針だ。
2012年05月04日金曜日
|
|