'12/5/5
国内の全原発停止へ 泊3号機、定検に向け出力ダウン
北海道電力は5日、泊原発3号機(北海道泊村)の出力を下げ、定期検査に向けた作業に入った。定検入りで国内の商業用原発50基がすべて停止する。全原発停止は草創期で2基体制だった1970年以来、42年ぶり。70年代の石油危機を経て原発をエネルギー政策の主軸に据えて以降は例がない。東京電力福島第1原発事故から約1年2カ月が経過し、日本は「原発ゼロ」に直面する事態となる。
政府が進める関西電力大飯原発3、4号機(福井県)の再稼働はめどが立っておらず、電力需要の高まる夏に向け生活や産業に影響が出る恐れが高まっている。中長期的には政策転換により、福島事故を教訓に原発に依存しない社会をつくる転機となる可能性がある。
泊3号機は5日午後5時ごろから出力を下げ始め、午後11時に発電を停止して定検に入る。6日未明には原子炉が完全に停止する。
日本原子力発電の東海原発が初の営業発電を始めたのは66年。70年代に入ると関電と東電が競うように原発を建設し、各社も追随。90年代には沖縄電力を除く電力9社すべてが原発を保有して現在の体制が固まった。
国内の原発は2010年度には全電力量の26・4%を供給。東日本大震災直前には30基以上が稼働していた。
事故後、各地の原発は定検により順次停止。九州電力玄海原発(佐賀県)2、3号機が再稼働目前までこぎ着けたが、安全評価(ストレステスト)導入に伴い見送られた。ことし3月に東電柏崎刈羽6号機(新潟県)が止まり、稼働中は泊3号機だけとなっていた。
電力各社は火力発電などの増強で対応しているが、原発が再稼働せずに猛暑となった場合、北海道、関西、九州の3電力管内で電力不足に陥る恐れがあり、家庭や企業は一段の節電を求められる。
政府の総合資源エネルギー調査会が今夏に新たなエネルギー計画をまとめるのを受け、環境・エネルギー会議が「革新的エネルギー・環境戦略」を策定する。