21:42:36
どうしてみんな、わたしのことをひとりぼっちにするの? と思う。必要とするときにそばにいてくれない。虚しさとかさみしさとか不安とかを、砕いてくれない。
なんてわがままなんだろう、わたしは。他人はわたしの道具じゃないっていうのに。
さみしかったのかなんなのか今でも分からないけれど、この前、誘われるがまま男友だちの家に行ってしまった。最後まではしなかったけれど、当然ながら多少、手は出された。服の上から身体をまさぐられる程度。少しだけ、直に触られたけれど。最初はキスしたいって迫られて、それは拒んだのに、なぜか触られることはゆるしたという矛盾。相手にも「なんでされるがままなの?」と不思議がられるくらいに大人しくしていた。
こんなことして何になるんだろう。でも、触られているときさみしくなくて、どんな意味だろうと不純だろうと、必要とされているのがうれしかった。抱きしめられながらぽつぽつとふつうに話していた。くすくす笑ったりもした。全然つらい時間ではなかった。別に後悔もしていない。けれど。
わたしは汚い女なのだろうか。きれいではないよね。
こんなこと書いたら、軽蔑されるだろうな。みんなわたしから離れていくだろうな。それは知っているけれど、それでもわたしのことを見捨てない人がいるのか今、試したいだけなの。
淫売と呼ばれたい。同時に汚くないよと慰められたい。あなたは傷ついているのだと指摘されたい。指摘されたい? 傷ついているはずないのに。このままずるずるとセックスすることになっても、たぶん平気だろうから。むしろ今、あのときのように身体が温もるのならば、もう1度どうこうされたいくらいだから。これも強がりなのかなぁ。
悩んでいるのは、そういう行為をしてしまったことではなくて、自分の卑怯さについて。傷ついたような気がするのは、この荒れた天気で不安定になっているせい。そこだけは見失ってはならないのに。悲劇のヒロインぶるなというはなしだよね。
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22:09:51
学生相談#90の記録。
この回もほぼわたしは話さずに、カウンセラーの言葉かけに首を振るばかりだった。
<今日の気分は? どう?>「……」<まだ元通りになりたいのかな>うなずく。<うん、前に言ってたことが本当なんだろうね。僕の都合で振り回されているって>「……」<僕が嘘つきだって思う?>うなずく。<前は手をつなぐって言ったもんな>
<さみしいときはどうしてる?>「……」<ネコちゃん(参考記事:
プレゼントと抱擁と)抱いてる?>首を横に振る。<え、そうなの?(意外そう)>「……」<話そうよ。隣にきてくれたら話す?>うなずく。<いじわる(笑)。だって僕が手とかつないでると治る気になれないだろ?>首を横に振る。<それとは関係なく治りたくなかったのか。今は治りたい?>「……(どうでもいい)」<しんどいときは入院するんだよ。入院すると楽になるだろ?>「……」
<話そうよ。話さない自由を認めてほしい?>「……」<ほらあれだ、ストライキみたいなものだ。無言の抵抗?>うなずく。<うん、確かに話さない自由はあるけれど。でも、それだと前に進めない気がする>「……(別に進みたくないし)」
そこで終わりの時間がきて、カウンセラーは次回の予約をとり始めた。わたしはそれを眺めながらなんとなく「カウンセラーの腕を、切ってみようかな」と思いついた。それで、いつも持ち歩いている自傷用のカミソリをかばんからとりだして、カウンセラーに近づいた。
わたしに気づいたカウンセラーはすごく驚いた顔をして、さっとドアの前まで逃げ出した。それをわたしは追いかけたが、あえなくかみそりをとりあげられてしまった。そして、<また境界例って呼ばれちゃうよ!>とカウンセラーは言いながら、人を呼ぶために部屋から飛び出した。
手持ち無沙汰になったわたしは、今度はわたしの電話番号を着信拒否にしておこうと思って、机の上に置きっぱなしになっていたカウンセラーの携帯電話を勝手に開いた。ちょうどそこに看護師さんたちがやってきて、カウンセラーにも<何してるの!>と携帯電話をとりあげられ、わたしは部屋から引きずり出されたのだった。
しばらくは別の部屋でカウンセラーのところに行こうともがいているところを、看護師さんたちにとり押さえられていたが、しばらくして母が迎えにきたので、観念して一緒に帰った。
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17:59:25
学生相談#89の記録。
これは、カウンセラーの研究室に押しかけた翌週の回だった。
カウンセリングに行く前、少し大学の図書館に寄って行ったら、バスに乗り遅れてしまい、カウンセリングに少しだけ遅刻してしまったので、部屋に入るとカウンセラーはすぐそのことをとりあげてきた。
<今日はギリギリだったみたいだね>「……(ていうか遅刻したし)」<来ようか迷った?>首を横に振る。<それはないんだ>
そのあとは沈黙をはさみながら、カウンセラーがぽつぽつと喋りかけてくるような感じだった。
<赤ちゃんになるっていうのを、先生もよく分かっていなかったよ。電話かけてくれても、たまたま不機嫌なときってあるだろ? でも、赤ちゃんだから、いつも上手に抱っこしてくれないとゆるせないんだよ。だから、抱っこし損わないために、限界設定するんだよ>「……」<喋ろうよ。僕に復讐したいの?>うなずく。<困らせたい?>「……(殺したい)」<困らせたいんじゃないんだ。じゃあ喋ろうよ>「……」<喋りたくない? 先週はそう言ってたよね。喋らない、か。喋って理解してもらいたいって気持ちにはならないのか>「だって、どうせ一生理解されないもん」<え、なんて?>「……」<もう1回>「隣に来てくれたら言う」<隣に来てほしいんだ。うーん。「〜もん」って言ったよな。何もんだー>「……」
<先週、いっぱい電話してくれた日あったよな。1回出たらだめになると思って、こらえるのに必死だった>「……(本当はくるしんでないくせに!)」<携帯電話もあるから使っちゃうと思うんだよ。入院中なんかはかえって諦めがついただろ?>「……(じゃあ、わたしの番号、着信拒否にでもすればいいじゃない)」<……帰りたくなってきた?>うなずく。<どんな気持ち? 悲しい?>
ここまでずっと、泣くのをこらえていたわたしだったけれど、ついに涙が一筋、流れてしまった。カウンセラーは<使いなよ>と言って、ティッシュを差し出してきたが、それを拒否したら<前は僕が拭いてくれたもんな。これも枠を破ることになるけれど>と言って、身を乗り出してきてわたしの涙を拭いてくれた。
このあたりで、終わりの時間がきて、カウンセラーは次回の予約の準備を始めたが、わたしはまだカウンセラーに絡んでしまった。
「先生がいないと頑張れない」<集中講義のある日だったけ、僕の部屋まで来てくれたけれど、そのとき「先生がいたら、集中講義に出なくていい」って言ってたやん。学生の本分なのに。僕が手とかつないでいると治る気になれないだろ?>「今のままだとさみしすぎて頑張れない。治る前にだめになっちゃう」<つらいときは入院するんだよ>「なんで先生の都合で色々変えられなきゃいけないの!?」<僕の都合って思ってるの?>「先生から手をつないできて、今度は勝手にだめだって言う」<……最初から手なんてつなぐんじゃなかったって思う?>うなずく。<……>「先生がいないと頑張れない」<でも、今まで頑張ってきてなかったやん!>
今まで、頑張りすぎだと言ってくれていたカウンセラーに「頑張っていなかった」と言われたショックで、わたしは黙りこんでしまった。そして、カウンセラーに帰るように促されても立ち上がれず、看護師を呼ばれて別の部屋で休んでから、カウンセラーに呼び出されて迎えに来てくれた母と一緒に家路についた。
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14:24:05
風がざわざわいうのに合わせて、心もぐらぐら揺れる。不安で孤独で、やりきれない。
すべきことがある。でも、手につかない。どうしてだろう。甘えでしかないと分かっているのに、問いかける。どうしてなの?
わたしにとって他人は、こういうときに気を紛らわすために存在してくれるものでしかないのかもしれないなと、最近よく思う。本当は人なんて嫌いなのかもしれない。相手の心を読むのは面倒くさいし、気を遣って疲れるし、思い通りにならないし、傷つけられるし。それでも、誰かと関わるために全神経を集中させていたら、さみしい気持ちも、何もできない情けなさも忘れることができる。一時的にせよ。
わたしにとって他人は、ただの道具にしか過ぎないのかもしれない。だから、誰からも愛されている気がしないし、愛せない。深い関係を築くことができない。見捨てられる恐怖に慄くことばかりになる。
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19:53:13
自分では調子が悪いと言う自覚はなかったのだけれど、大学で事件(?)を起こしてしまった。
先週は、集中講義があり、学生相談が休みだった。それでつい、さみしくなってしまって、集中講義の後にカウンセラーの研究室まで行ってしまったのだ(わたしのカウンセラーは、わたしの通う大学の学部で教員をしている)。
ドアをノックしてしばらくすると、カウンセラーはドアを開いた。わたしがそこにいたことに、すごく驚いていた。そして、とてもうろたえていた。<だめだよ、枠は守らなきゃ>とか<今ここで会ってしまったら、これまでの努力が水の泡だよ>とか言っていた気がする。よく覚えていない。結局、カウンセラーに何と言われてもわたしが帰る気配を見せなかったので、カウンセラーは<僕が対応するとまずいから>と内線で、他の教員を呼んだ。わたしはぽろぽろ泣きながら、入り口でそれを見ていた。
しばらくすると、2人の別の教員がやってきて、カウンセラーはこれ幸いとばかりにわたしから逃げ出そうとした。泣きながら追い縋ろうとするわたしをひとりの教員が抱きしめて、背中をさすってくれた。それがすごく温かくて心地よくて、少し落ち着いているうちに、カウンセラーはどこかへ逃げてしまった。
その後は、2人の教員に1時間も時間をとってもらって、カウンセラーとの間に起こったことをきいてもらった。手をつないでいたことも。わたしと一緒に怒ってほしかったのだろう。そこは心得ている人たちだったみたいで、全然動揺されなかったけれど。こういうとき、がっかりするのが、いかにも境界例らしいなと、自分でも思う。
昨日の記事のあとのことだったから、会いに行っても相手にしてもらえるという期待はしていなかった。それでも、どうしても一瞬でもいいからカウンセラーの顔が見たかった。結局、次の日も同じことを繰り返して、また同じ教員のお世話になった。
さみしさと忙しさはわたしから理性を奪う。なんだか、これからやっていける気がしない。ちょっと調子がよくても、何かあるとすぐにガクッとだめになってしまう。わたしはこのまま消えたほうが誰の迷惑にもならないし、自分も楽だということしか分からない。
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22:42:57
学生相談#88の記録。これが2回目に退院してから初めての学生相談である。
退院してすぐに学生相談の予約が入っていたので、この日は母につきそってもらった。面接室に入ったのは、わたしひとりだったけれど。
迎えに来たカウンセラーはわたしを面接室に入れると、わたしの隣ではなくセラピスト用のソファに座った。だからわたしも、カウンセラーからなるべく遠いソファの端にぎゅっと座った。
<今日は来たんだね>「……」<どういう気持ちで来たの?>「……」<怒ってる?>うなずく。<そうなんだ。入院中は電話でしか限界設定のこと話せなかったから、今日はちゃんと話し合いたい>「……(話し合うんじゃなくて、宣告するだけのくせに)」
限界設定というのは簡単に言うと、カウンセリングでの「ここまではよくて、ここからはアウト」という約束ごとのことである。カウンセラーは、今までのわたしとの関係ではこの「ゆるされていたこと」の範囲があまりにも広すぎたから、それを厳しくしたいと言い出したのだ。
この回、カウンセラーは色々喋りかけてくれたけれど、わたしは喋ったら負けだと思っていて、結局一言も口を開かなかった。
<話そうよ。前は何でも喋れてたやん>「……」<手をつないでいないと喋られない?>うなずく。<うーん。そういう困ったこともあるんだな>「……」<今年の1月も、最初は手をつなぐのやめて、
その何回か後につなぎたいって言ってくれたんだよな。あのとき、ただ要求を受け入れるんじゃなくて、考えればよかった。時間の延長もそうだよね>「……」<手をつないでも治る気にならないでしょ? 満足させたら調子が悪くなるんだよ>「……」<むちゃな要求いっぱいしたから、突き放すためにリミットセッティングするんじゃないよ。そこは分かってほしい>「……(ちらりと時計を見る)」<帰りたい?>うなずく。<怒ってるから? さみしい?>「……」<この前は「先生のこと、包丁で刺したい」って言ってたもんね>「……」<限界設定は、納得させるのが目的じゃないから、そこは分かってね>「……(わたしの意志なんて、どうでもいいってこと?)」<これからはちゃんと、境界例の特徴を持った人として接していく>「……(わたしの名前は「境界例」じゃない!)」
そこで終わりの時間がきて、カウンセラーは次回の予約をとるためにパソコンに向かった。その隙をついてわたしは立ち上がり、カウンセラーの手をとった。
<だめだって。な?>「……」<ずっとこれ狙ってたな?(笑)>
カウンセラーは1度、私の手を両手で包んでから、手を離した。そして、立ち上がり、わたしを部屋から帰すためにドアを開けようとした。わたしはそれに抵抗するように、カウンセラーに正面から抱きついた。カウンセラーは<強制的にはだめだって>と、これまた笑いながらいって、何とかわたしを引き剥がした。そして、再び泣きながらカウンセラーに縋りつくわたしを引きずるようにして、母のもとへ連れて行ったあと、<次の面接があるから>と去っていってしまった。
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20:41:09
もうさみしすぎてやってられない。眠ることもままならない。誰かわたしが腕を切ることをゆるして。そうすれば、安心して、何のためらいもなく、切ることができる。
切ることもできないし、カウンセラーと連絡はつかないし、どうしてこんなにひとりぼっちなの? 誰もそばには来てくれない。わたしのことなんて、どうでもいいから。さみしい、さみしい、さみしいよぉ。
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20:45:59
さみしいので涙がこぼれる夜、求めるのはカウンセラーの優しさ。携帯電話から伝わる声。厚い手とその体温。抱擁。もう2度と手に入らないもの。
死のうとしたことは後悔していないが、カウンセラーを失うことになってしまったことだけ、悲しい。それならばもう1度いっそ、と思う。カウンセラーへの怒りは、出口を失ってどこかに抑圧されて、今は包丁を握っていくような勢いを持たない。だからわたしにはもう、救われる道はない。
さみしいのを僕が埋めていたらあなたは治る気になってくれない。さみしさを埋めてくれるのはカウンセラーじゃなく、親か友だちか恋人。
カウンセラーに言われたことだけれど、わたしが助けて、と手を伸ばしているのは他でもないカウンセラーなのだ。わたしのさみしさの形にいちばんしっくりくるのは、あなただから。言い換えると、あなた以外は誰も、ぴたりときてくれないから。
どうしてさみしさでは眠れないのだろう。
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19:23:16
学生相談#87の記録。これが2回目の入院前の最後の学生相談となる。
この回、わたしは学生相談に行く前に調子を崩していて、カウンセラーに電話をかけてしまった。そこでカウンセラーが<大丈夫? 来られそう? 今日は誕生日プレゼントも用意しているよ>と言ってくれたので、なんとか出かける準備ができた。
実はわたしは、この面接の数日後に21才の誕生日を控えていたのだ。
20才の誕生日にはプレゼントをもらえたけれど、今年はさすがに何もないだろうと思っていたから、とてもうれしかった。
そうして面接室に行くとカウンセラーは、電話をかけてきたときに何かしんどいことがあったのか少し訊いた後で、<プレゼント、渡そうか。いい?>と訊いてきた。わたしがうなずくと、赤いねこのちりめん細工を<裸のままだけれど>と言って渡してくれた。
「ありがとうございます」<この前、昔あげたストラップ見せてもらったら、ボロボロになってたから何とかしないとと思って。少し気に入ってもらえたみたいでよかった。これ、どこに置くか考えておいてね>「枕のところに置く。一緒に寝る」<じゃあ、夜も少しはさみしくなくなるといいな>
その後は、夏休みに仕上げなければならないレポートの話とか、中断している受診を再開しなさいと勧められたりとかしていたのだけれど、ふと沈黙が訪れたので、わたしは疑問に思っていたことを訊いてみた。
「先生、わたしの前に誰かの面接した?」<どうして?>「今日は特別な曜日だからわたしだけかなって思ってたけど、すごくはやく来てたみたいだから」<うん、はやく来るように予定がなってたから来たんだけれど、誰もなかった。なんだろう、嫉妬?>「うーん」<わたしだけの先生でいてほしい?>「うーん」<でも、嫉妬する気持ちを言えるようになったんだね>「……」<どうしたの? 言葉にならない?>「あのね、ちがうこと考えてた。……さみしいからぎゅっとしてほしい」<前回、頑張ってたもんね。追いかけてきて、子どもみたいだった。家に行ったとき、僕がぎゅっとしたんだよな。どんなふうだった?>「えっと、先生からおおいかぶさってきた」<それは他の人がきいたら誤解する言い方だな。ちがう意味になるよ(笑)。あ、真っ赤になってる>「……(恥ずかしい)」<あのときは生きててよかったって思ったから>「……」<何をじっと見てるの>「……」<セクハラになるから、抵抗あるんだよ>「どうして?」<だって、20才を越えた女の子って側面もあるだろ?>「でも、先生はわたしのこと、子どもとしてしか思ってないでしょ?」<そうだよ>「じゃあ、大丈夫……」<泣いてるやん。じゃあ、ちょっとだけだよ>
そう言って、カウンセラーは身体を少し屈めたので、わたしは抱きついた。
<じゃあ、帰ろうか>「もう1回だけ」<うん。……子どもとしてだよ>
抱き合いながら、カウンセラーは優しく背中を撫でてくれた。わたしはそれがとても心地よくてうれしかった。
しかし、次の日に調子を崩してカウンセラーに電話したときに<本当はぎゅっとしたくなかった>と言われたことがきっかけで、次の学生相談を待たずに、わたしは自殺を図るのだった。
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20:02:20
追いやれど追いやれど、さみしさはたちまちぶり返す。わたしはどうすればいいの? ひとりぼっちで、どうやって、さみしさと対峙すればいいの? 答えは誰も教えてくれない。導いてはくれない。だから、腕が赤く濡れていくだけ。
落ちついては取り乱して、生きようとしてはそれを諦め、繰り返すばかりで何も発展しないのが人生なのか。色んな人に言われた、あなたは負の無限ループに陥っていると。
学生相談をやめようか。やめたら調子を崩すかもしれないことと、やめてもカウンセラーと顔を合わせる機会があるから気まずいというのが、今のネック。でも、あの通い始めたばかりの、カウンセラーは的外れで、わたしは連想することがなくて、ただ黙って向かい合っているだけの時間を繰り返す必要性が感じられない。あの頃はまだよかった。これから変わっていく希望が、当時は分からなかったにしても本当はあって、その通りわたしとカウンセラーの関係は温まっていって、わたしの孤独も虚しさも幾分か救われた。
だけど今は、カウンセラーに一方的に制限を与えられて、もう関係が植物のように伸びていくことも望まれない。閉ざされている。終わってしまっている。うまく言えない。
ただもう、この関係に希望も未来もないということだけが厳然たる事実としてここにある。それだけが分かる。わたしは無力で、カウンセラーの考えを変えていくことなどできない。ただ、去るか従うか、それだけ。
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19:40:36
つらくはないけれど、なんとなく腕を切りたい。
なんだかエンスト起こした感じ。ここ数日、頑張ったせいか、今日は何も手につかなかった。ずっと寝てしまっていた。起きている時間の方が短くなるくらい。
腕を切ったらエンジンがかかるかなと思う。もやもやとしたさみしさも不安も幼稚さも吹き飛ぶかなと。そんなことないのは分かっているのだけれど、なぜかそう思う。
カウンセラーがついているという安心感がほしい。もう2度と手に入らない。完全に見捨てられるまでずるずると、お互いに消耗していくだけの関係なのだから。手をつながない状態ではもう、喋りたくない。喋らなければわたしはくるしいし、セラピーは進まない。そうしているうちに、卒業になるか退学するか知らないけれど、わたしが大学を去る日がきて、あるいはそれを待たずに中断して、わたしは見捨てられるのだ。前は卒業してからもずっと会うって言ってくれていたけれど、あの人のしてくれた約束なんて、全て反故にされてしまったのが今なのだから。
誰かにぎゅっとされたい。わたしを見て。そしてそばにいて。
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23:14:35
学生相談#86の記録。
この回わたしは、死ぬために学生相談を今日で終わらせようと考えながら、面接に臨んでいた。
<来週は夏休みでおやすみだから、別の曜日に予約とろうね>「……」<どうしたの?>「予約とらなくていい」<どうして? 先週はとってほしいって言ってたやん>「今日で最後にする」<急にどうしたの? いつからそう思った?>「分からない」<また解離してるなー>「解離じゃないもん」<じゃあ、どうして覚えてないの?>「単に前のことだから」<前のことでも感情が動けば覚えていられるようになるよ。そのためにもここには来ようよ>「……」<死ぬ予定があるの?>「うん」<いつ?>「ずっと先」<だったらまだやめることないやん>「……」
結局、この50分間はカウンセラーがわたしを説得するだけで終わってしまった。それでも頷かないわたしに痺れを切らしたカウンセラーは、<次の予約は、とにかくとっておくから>と言って、強引に予約をとろうとした。わたしは、予約をとろうとカウンセラーがわたしから注意を逸らした隙に、席を立って逃げ出そうとした。が、すぐに捕まってしまった。カウンセラーは<もう、手が離せないやん>と言い、わたしの手を握りながら次回の予約をとった。
<このままじゃ心配だから、もう少し話そうか>「帰る」<でも、僕と話したいだろ?>「……」<今は混乱してるねん。これからは好きなことだけして頑張らずに生きていけばいいんだよ。それなのにいちばんしたいことをやめることはないやん>
こうして振り返るとカウンセラーの自信満々っぷりにはびっくりしてしまうが、とにかく時間を延長してもらって、もう少し話すことになった。
<バイトはやめたら? せめて減らすとか>「いや」<でも、本当によく頑張ったよね。2年も続くとは思わなかった。何か自分にご褒美を買ったら?>「ほしいものない」<じゃあ、靴とかどう?>「今の時期はサンダルしか売ってない」<サンダル買えばいいじゃん>「足を出さないといけないからいや」<どうして?>「わたしの脚は汚いから」<どうして汚いって思うの? そんなことないよ>「分からないけれど、自分の身体は汚いって思う」<その考えもどうにかしないとなー。自分を汚いと思う気持ちって、どうすれば消えるんだ?>
その辺りで、カウンセラーの次の用事の時間になってしまって、わたしは帰らされそうになったが、さみしかったので、またカウンセラーの用事が終わるまでカウンセラーの学生さんと待つことにした。そして、用事が終わったカウンセラーに駅までいつものように送ってもらった。
<じゃあ、帰ろうね>「……」<どこかで踏ん切りつけないといけないよ。それじゃあね>
そう言って、去っていくカウンセラーをわたしは思わず追いかけて、抱きつこうとしてしまった。しかし、カウンセラーはそれをやんわりと制止した。
<僕に抱きしめてほしい、ぎゅっとしてほしいんだ。でも、だめだよ。セクハラになっちゃう>「なんで?」<これを見て不愉快になった人がいたらセクハラなんだよ。僕が大学クビになっちゃうよ>「……」<な、もう帰ろう>「ぎゅってしてくれたら帰る」<それはできないよ。カウンセラーだから>「前に1回してくれたのに?」<え? 覚えてない……本当?>「家に来てくれたときしてくれた」<それが忘れられないんだね。でもあのときはたぶん緊急だったから。とにかく、その話はまた今度ね>
そう言ってカウンセラーは、弾丸のようにわたしを置いて走って行ってしまった。
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11:13:45
学生相談#84と#85の記録。
#84
この回の少し前に、わたしはサークルの人とちょっと遠出したので、カウンセラーへのお土産にご当地物のストラップを買った。今回はそれを持っていって、部屋に入るとすぐ、「これ、お土産」と言って渡した。
カウンセラーはそのストラップをすごく気に入ってくれて、とても喜び、<出かけているときに、僕のこと思い出してくれたんだね>と言って、わたしの頭を撫でてくれた。わたしはそれがとてもうれしかった。
……おしまい(本当にひどい)。
#85
前回と今回の間に、わたしはまた死にたくなって、踏み切りの前に1時間近く立ち尽くすということがあった。そのときカウンセラーにも何回か電話をかけたので、今回はその話になった。
<この前は踏み切りの前にいたんだよな。しばらくいたの?>「うん」<それでとびこめなかった?>「うん」<僕と電話で話せたときは、もう帰ってたよな>「うん」<で、家に帰ってからちょっと眠れたんだよね>「……(覚えてないや)」<その後また首を吊ったけれど、調子悪くなったからって言ってたから、ずっとしんどかったわけじゃなかったんだよね>「たぶん」<僕と電話したときは、どうして死ねないのか、踏み切りに入ればよかったって言ってたよね。それで僕は生きたい自分もいるから死ねないんだと思うって言ったよね。どう? 生きたい自分もいる?>「……(なんでそうなるの)」<めっちゃ瞬きしてるよ>「……(あー、イライラする。帰りたい)」<生きたい自分がいるか分からない?>「……やっぱり帰る」<え? どうして?>
それで、驚くカウンセラーの手を振り払って帰ろうとしたら、慌ててカウンセラーがわたしの体を押さえてきた。
<どうして帰りたくなるの?>「ここにいたら先生のこと殴りたくなるから」<そうなの? 初めて理由を言ってくれたね。殴ってもいいんだよ。顔?>「うん」<グー? パー?>「カバンで殴る」<カバンで殴るんだ! どうしてそうしないの?>「……殴り方が分からないから」<あんまり兄弟げんかで殴ったりしたことないのかな。じゃあ、ちょっとやってみようよ>
それでカウンセラーは、わたしを立たせ、カバンを持たせ、<こうやるんだよ>と殴り方の指南をしてきた。しかし、わたしはその状況があまりにもあほらしすぎて、全く力をこめる気になれなかった。
<全然力が入ってないよ? どうしたの?>「殴っていいよって言われて殴っても……」<それもそうか(笑)。殴らないでーって言ってるのを殴らないと意味ないよね>
こんな話をしてるうちに時間になったので、2人で外にでたが、わたしがさみしがるのでまたカウンセラーは延長をしてくれたことは覚えている。話の中身は忘れちゃったけど。
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18:11:32
本っっ当にお待たせしました学生相談#83の記録。
#84と#85は記憶も記録もほとんどないので、まとめてひとつの記事にしたいと思います。
今回は、前半にテスト勉強のお手伝いをしてもらい、後半にぽつぽつと話をした。
<今日は何の話をする? テストの話? それともテストの後にどう生き延びるかの話?>「んー……」<僕が先走るとろくなことにならないからな>「じゃあ、ちょっとだけテストの話をして、それから他の話したい」
そして、50分近く念入りにテスト勉強を2人でした。こんなに時間が経ってしまったら、他の話をする前に今日はおしまいかな、とちょっとさみしく思っていたら、カウンセラーは時間に気づいていなかったらしく<で、他の話って?>と訊いてきた。
「もうすぐ次の診察ある。……行かないけど」<行こうよ。行かないってあれでしょ、9月に死ぬためとかだろ?>「うん」<だったら行かないと。なんで行かないの>「意地?」<意地張ってどうするの。言いたいことあるだろ?>「ううん」<前の診察で思ったこと言えばいいやん>「忘れた」<また解離してる>「ちがうもん、前のこと過ぎて忘れた」<そういうことか>
それで、流れは忘れたけれど、わたしはふつうだから問題ないという話になった。
<死にたいって思うのはふつうかもしれないけれど、死のうとするのは質がちがうやん>「でも、わたしの周りにも首を吊ったことあるって子いるよ」<大学で?>「うん」<うーん、でも、標準的であることと問題あるかどうかは別のことじゃない? って、あぁ、また僕のことハメようとしてるな。それにしても、どうしてその子は助かったんだろうね>「途中でやめたんだと思う」<そういうことか。みんな色々あるんだねぇ>
この辺りで、カウンセラーが時間が過ぎているのに気がついて、おしまいになった。
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14:53:56
服従せずに、カウンセラーの押しつけてくる枠に、適応する方法はないだろうか、と考え始めた。服従ではなく、適応を目指すこと。心をカウンセラーにぐちゃぐちゃにされないように守るまま、あの人と会い続ける方法を探ること。
くるしいのはわたしばかり。我慢するのはわたしばかり。カウンセラーの誤った判断で、病理を開花させてしまい、深い依存心を持ってしまい、とり返しがつかないところまできてしまったのはわたしなのに、カウンセラーはその責任をとることなく枠を与えてくるように思う。本当に無責任だったら、今頃は面接自体放棄していることは分かっているけれど、心情的にゆるせないのだ。どうして連絡先を教えたの? 幻想を現実にしたの? そして、急にそれをとりあげるの? とりあげられてくるしむわたしを誰も救ってはくれないの? 怒りと孤独と悲しみがぐわっと襲いかかってくる。誰かわたしを助けてよ。わたしをくるしめたなら、これからもくるしめることしかできないなら、これからもずっと夢を見させ続けてよ。
眠りたい。だけど眠れないのであれこれ考えてしまう。何も手につかない。生産的なことが一切できない。わたしはもう社会的には死んでしまったかのように感じる。頓服は効かないし。
悪いのはだれ? カウンセラーでしょう。それなのに、くるしいのはわたし。ゆるせない、ゆるせない、ゆるせない!
この悪夢が終わる日はくるなんて思えない。今はただ、カウンセラーを殺してわたしも死にたい。
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18:51:49
退院して2日目だというのに腕を切ってしまった。本当は眠るためにODしたかったけれど、薬がないから仕方なく。
カウンセラーに見捨てられた。殺されそう。流れ出る血が邪魔で舐めてみたら、あたたかくて美味しかった。もうカウンセラーに会うのはやめようかと思うけれど、そうすると本当にまた自殺企図してしまう。してもいいんじゃないのかなって気分になりつつあるけれど。こんなにくるしいのに、携帯電話を使用禁止にするのが正しいことなの? 正しいことじゃなかったと示すために、今、死にたい。
「産みのくるしみ」とカウンセラーは表現したけれど、何が生まれるのだろう。殺意? 絶望?
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13:04:18
つながらないと分かっている電話をかけることほど惨めなことはない。いっそ着信拒否にしてくれたらいいのに。されたらされたで怒り狂うのだろうけれど。
自分が、ボーダーラインであることを受け入れて、これからどうにかしていこうかと思い始めた矢先に、いちばん信頼していた人に見捨てられた。枠づけ、という大義名分を使って、厄介払いをされた。枠を破ったのも、それにひるむわたしを誘ったのも、全部カウンセラーなのに。どうしてわたしばっかりくるしいの? あの人はわたしという重荷を捨て去ることができて清々できるの? ずるいよ、ずるすぎる。
境界例だから、枠づけをするといわれた。だったら、わたしがボーダーラインじゃなければ、また手をつないでくれるの? 携帯電話をとってくれるの? そうじゃないのでしょう。悪いカウンセラーだった。どこかでずっと気づいていた。この人はわたしをくるしめることしかできないと。そして今、その予感は恐ろしいまでに具現化している。
ひとりぼっちに疲れた。どうしてこんなにさみしいの。さみしさのショックでは死ねないの。
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