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【静岡】震災後、焼津市の人口減少 津波を恐れ移住か
駿河湾に面し、マグロやカツオなどの遠洋漁業が盛んな焼津市。二〇〇八年の旧大井川町との合併後、横ばいだった人口が東日本大震災後、徐々に減り続けている。市が一〜二月に市民千九百人に実施した意識調査では、9%の市民が津波から逃れるために市外移住を検討したと回答。海の恵みで生きてきた土地ならではの津波への恐れが、人口流出の一因との見方もある。 隣の高台 藤枝市は増藤枝市駿河台の高台に立つ新築マンション。販売元の静岡市の不動産会社の担当者は「焼津からの入居者が多いようだ。駿河台は高台で地盤も固く、安心感があるのだろう」と明かす。JR西焼津駅や焼津市役所周辺と比べても、駿河台の人気はこの地域で断トツだという。 独自の判断で関連施設を内陸部に移転させた企業もある。焼津市内に工場を持つ電子部品の製造会社は昨年六月、外国人研修生の住居を焼津市の沿岸部からJR藤枝駅周辺に移した。担当者は「社内や研修生から津波を不安視する声が出たため」と説明する。 焼津市の人口は三月末現在で十四万五千八百八十九人。震災直後の昨年三月末と比べると八百二十八人減った。沿岸部で人口が減る一方、内陸の藤枝市は十四万五千四百五十九人(三月末現在)で、一年前から五百三十人増えた。大井川町との合併でいったんは焼津市が逆転したが「一二年度中に再逆転する可能性も」(藤枝市幹部)とささやかれている。 南海トラフの巨大地震による被害想定で、焼津市は当初の予想を超える一○・一メートルの津波高を指摘された。市は市内二百三十八の津波避難ビルの認定基準を見直す方針を表明。津波対策の目玉となる海抜十二〜十五メートルの高さの津波避難タワーは「想定の津波高を満たしている」(清水泰市長)として高さは見直さない方針だが、より丈夫な素材での建設を検討している。 意識調査では、市外への居住を検討した市民の約半数が「何らかの津波対策があれば市内にとどまることを考える」とも回答。市は一二年度中に十五基のタワーを完成させ、最終的には三十基を建設する計画だが、市民からは「もっと避難場所を作ってほしい」「高台があれば」といった要望も多い。 焼津市の担当者は「人口減は津波だけが原因ではないだろうが、一因であることは確か。市民の安全を確保するため危機管理対策を充実させていきたい」と話す。 (深世古峻一) PR情報
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