2010年1月に朝日新聞が行った世論調査では、永住外国人に地方参政権を与えることに対して、賛成が60%、反対が29%だったとされている。日本人の多くは外国人参政権を許容しているのだろうか。もっとも、産経新聞が2009年8月に行った調査では95%が反対。読売新聞が2010年4月に行った調査では賛成44%、反対47%など、賛否の比率は大きく違う。
外国人参政権の問題は、広く国民に周知されているとは言い難い。アンケート結果がメディアによって異なるのは、設問の文脈などに影響されて回答する人の意見が揺れているという側面もあるのだろう。
(西村氏)こうしたアンケートで外国人参政権の付与に賛成する人の多くは、長く日本に住んでいる外国人には人権として参政権を認めてもいいんじゃないかという、漫然とした美徳のような意識があるのでしょう。でも、そうした空気そのものが日本の危機的現状を象徴しているといえるのではないでしょうか。日本の選挙で投票率が低い現状は、そもそも参政権が大切なものだという意識が欠如していることを示しているのかも知れません。だから、参政権くらい、外国人に与えてもいいんじゃないかと思ってしまうのでしょう。
外国人参政権に反対するのは「偏狭なナショナリズムだ」と批判する意見がある。でも、参政権を求めるならば、帰化して日本国籍を取得すればいいという考え方が、はたして偏ったナショナリズムだろうか。
(西村氏)私の友人でもある石平(せきへい)氏は、1988年に中国から来日して日本で学び、生活して、2007年に帰化しました。ところが、帰化の手続きが簡単すぎてあっけなく、逆にがっかりしたと言っていました。日本に忠誠を誓うこともなく帰化できたのが気になって、日本国籍を取得してすぐに、自分から伊勢神宮と靖国神社へ参拝に行ったそうです。日本人は、参政権や国籍を軽く考えすぎています。国民、ひいてはメディアの意識が、いまだに連合国の占領下から脱し切れていないのかも知れません。
たとえば、2010年度の大卒就職率が史上最悪であるというニュースでは、安易に不景気ばかりを語ってしまう。でも、就職率が悪化している背景には、日本企業が外国人の採用枠を増やしていたり、大学生の志望職種や企業が偏向しているといった問題が絡み合っています。メディアが報じるニュースを鵜呑みにするだけでなく、自分の頭で考えて世の中を注視するリテラシーが、ますます大切な世の中になってきているといえるのではないでしょうか。 |
|