ニュース
AEDもっと早ければ…女子生徒重い障害残る
埼玉県北部の市立中学校で約1年半前、当時2年の女子生徒が教室で倒れて意識不明となり、重い障害が残った。
母親(42)は、「自動体外式除細動器(AED)の使用がもっと早ければ、状況は全く違ったのでは」として、外部による事実経過の調査を求めている。市教委は「適切な対応だった」として調査は行わない考えだが、学校がこうした事態にいかに備え、対応するか、重い課題を投げかけている。
女子生徒は2010年12月14日朝、ホームルーム中に座席から倒れた。救急搬送されて入院し、退院できたのは約3か月後だった。
「低酸素虚血性脳症」と診断され、今も、ベッドで寝たきりのままだ。自力で体を動かしたり、話したりすることはできなくなった。
女子生徒にはもともと「肥大型心筋症」という持病があった。学校生活は普通に送っていたが、マラソンなど心臓に負担がかかる激しい運動は避けてきた。このことは、学校側に伝えてあり、診断書も提出していたという。
母親が学校側から受けた説明では、女子生徒が倒れたのは午前8時26分頃。保健室に運び、AEDで心肺蘇生法を施したのは、同8時40分頃だった。
母親は、もっと早くAEDを使用するなど、適切な対応が行われれば、これほど重い障害が残らなかったのではないか、と考えている。「持病があることは学校に伝えていたのに、なぜこんなに対応が遅れたのか」
校長は、「思春期の女子生徒なので、その場ですぐに他の生徒らの前で上半身をさらし、AEDを使用することがためらわれた」と説明。「精いっぱいの対応をしたつもりだが、もっと上手な対応を、と言われれば、別の対応があったかもしれない。今後こうした事故の際は、ためらうことなくAEDを使用するようにしたい」としている。
市教委では、この事故を受けて、職員向けのAED研修を年1回から2回に増やしたという。(福田麻衣)
(2012年4月26日 読売新聞)
最新医療ニュース
- 救急の画像診断ネットワーク化…群馬
(5月5日)
- 夜尿症治療、時計遺伝子カギ…京大グループ解明(5月5日)
- 卵子提供不妊治療 東北で初の妊娠例(5月5日)
- 鳥インフル論文、ネイチャー誌電子版に掲載(5月3日)
- 目薬に劇薬、子供が視覚障害…求刑10年(5月3日)
- スマホに持病や薬を登録…迅速伝達へアプリ開発(5月3日)
- 筋ジスと闘う家族写す(5月3日)
- 卵子提供、タイ渡航が急増…安価・緩い規制で(5月2日)
- 外村彰さん死去…ノーベル物理学賞候補に挙がる(5月2日)
- 長野県立木曽病院…診療費738人過徴収(5月2日)