異例の原発「調整運転」2カ月超 泊3号機と大飯1号機北海道電力・泊原発の(右から)3号機、2号機、1号機=2009年12月、北海道泊村(同社提供) 東京電力福島第1原発事故の影響で各地で停止中の原発の再開が困難な中、定期検査中の原発のうち2基が営業運転と同様の「調整運転」を続け、14日までに丸2カ月を超えた。 調整運転は定期検査の最終段階で、営業運転と同じ発電をしながら異常がないかを総合的に確かめる。通常は1カ月程度で営業運転に移行しており、2カ月以上は異例の事態。事故後の緊急対策のほか、安全性を懸念する地元への配慮によるとみられる。 法律が定める検査を完了しないまま出力約100%で発電し、電気を販売し続けることの妥当性を問う声も出ている。 2基は、北海道電力の泊3号機(91万2千キロワット)と関西電力の大飯1号機(福井県、117万5千キロワット)。泊3号機は3月7日、大飯1号機は地震発生前日の3月10日に原子炉を起動し、調整運転を始めた。いずれも4月上旬には営業運転に移行する予定だった。だが事故後、経済産業省原子力安全・保安院は、緊急時の電源確保などの緊急安全対策を取るよう求め、電力会社は対応が必要になった。 北海道電力は「保安院から対策了承の連絡があったのは11日。今後営業運転入りに向け、地元の理解を得られるよう努力したい」と話す。一方、関西電力は「営業運転は地元の理解を得ながらになるため、しばらく先になるだろう」としている。保安院は、定期検査の手続きを踏めば営業運転再開は問題ないとの立場だ。 原子力資料情報室の伴英幸共同代表は「今回の地震、津波で、保安院も基準を見直す必要があると言っている。様子見で調整運転を続けるのではなく、一度しっかり止めて、新たな基準を満たしたことを確認してから再起動すべきだ」と指摘している。 【共同通信】
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