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社会

国内全原発停止 「歓迎」「危機」県内の反応 

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「こどもの日」に合わせ、市民グループが開いた脱原発のイベント=神戸市中央区三宮町1(撮影・大山伸一郎)

「こどもの日」に合わせ、市民グループが開いた脱原発のイベント=神戸市中央区三宮町1(撮影・大山伸一郎)

 国内の商業用原発50基のうち唯一稼働していた北海道電力泊原発3号機が5日、定期検査のため停止し、稼働する原発がゼロになる。政府は関西電力大飯原発3、4号機の早期再稼働を目指すが、周辺自治体などの反発で先行きは見えない。「原発ゼロ」をどう受け止めればいいのか。兵庫県内で暮らす人々にも重い問いを突き付ける。

 「未来ある子どものために、原発は今日で終わりにしよう」。神戸・三宮で5日、約20人の市民が声を上げながら、子どもたちに緑色のこいのぼりを配った。

 企画したのは「さよなら原発神戸アクション」。呼び掛け人の松本なみほさん(37)=神戸市北区=は「今日は記念すべき日。原発なしでも暮らせることを大人が証明しなければ」と話した。

 福島県大熊町から家族5人で神戸市内に避難する男性(38)も、原発ゼロを歓迎する。自宅は福島第1原発から約8キロ。大熊町には原発で働く住民が多く、自身も原発の関連会社で放射線量の測定をしていた。

 「(大飯原発のある福井県でも)生活のため再稼働を望む人は多いだろう」と想像するが、「再稼働すれば再び危険な原発で働く労働者が出る。一度の事故で、命と故郷を失うリスクをどう考えているのか」と、国の姿勢に不信感を抱く。

 関西広域連合は、関西電力が示す需給見通しについて「他社融通など、もっと上積みできるのでは」と疑問視し、関電の公表数字を検証するプロジェクトチーム(PT)を設置。メンバーを関電に派遣して詳しい説明を求める方針だ。

 一方、経済界には再稼働を望む声も。

 神戸商工会議所の大橋忠晴会頭(川崎重工業会長)は5日、「火力発電への依存によるコスト増で電気料金が値上げされれば、地域経済に深刻な影響を及ぼす」とのコメントを発表した。

 自動車業界向けの工作機械を製造する東洋機械金属(明石市)の片山三太郎社長は「再稼働してほしいが、今の世論では難しいだろう」とため息をつく。「仮に20%節電要請となれば、対策費は昨夏の倍」と、競争力低下に危機感を募らせる。

(木村信行、内田尚典、広岡磨璃)

(2012/05/05 22:30)

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