今すぐ萬画館が必要なのかと苦言
2012年04月29日
石巻市は東日本大震災最大の被災地として、国内はもとより、世界中の注目を集め、同時に心温まる支援の手が差し伸べられてきた。しかし、ここにきて、向けられるその視線は大きく変化している。
週刊ダイヤモンドに過日、次の記事が掲載された。
http://astand.asahi.com/webshinsho/diamond/weeklydiamond/product/2012030700010.html
-『死に金』と化す予算-
宮城県石巻市。北上川河口に浮かぶ小さな島に、白い鉄板で造られた宇宙船のようなドーム施設が鎮座している。石巻に縁の深かった仮面ライダー作者の漫画家・石ノ森章太郎氏にちなんだ博物館、「石ノ森萬画館」だ。
「復興交付金を使って、萬画館をリニューアルしたい」
2月中旬、石巻市を訪れた平野達男復興大臣に対し、亀山紘市長から出てきたこの要望に、周囲の関係者は凍り付いたという。
復興交付金とは、2011年度第3次補正予算において国が新たに創設した制度のこと。危険区域からの集団移転など、各自治体が独自の「復興プラン」を国に提示し、そのプランを審査して国が資金を支給する。
実はこの萬画館には、文部科学省が教育施設復旧費として、すでに元通りに直すための予算約6億円を手当て済み。つまり今回の市の申請は、所得税や法人税の増税という『痛み』を国民に強いて捻り出す予算を使って、さらに施設をグレードアップしたいということなのだ。
漫画による街づくりを掲げてきた市が、この施設を「復興の起爆剤にしたい」と考えるのもわからなくはない。だが、「この施設だけ豪華になっても意味がない」(市職員)ことは、当の住民でさえ理解している。本来は、地盤沈下する中心市街地の再生とセットで計画を練る必要があるからだ。
こうしたトータルの復興計画もないばかりか、3000人を超える死者を出した石巻市は応急復旧すらままならないのが現状。石巻駅から萬画館に向かう橋もいまだに歩けない状況で、「今すぐ萬画館が必要なのか」と、復興庁関係者が苦言を呈するのもうなずける。
ダイヤモンドの記事には、このほかにも、各自治体が各々計画している祈念公園やメモリアルパ-クといった施設やハコモノ建設など、本当に復興に必要な予算か否かを問う内容が続く。被災地が上げてくる何でもありの復興予算要求を痛烈に非難しているが、石巻は特にひどい。政治の無策が利権を一人歩きさせ、混乱の元凶となっていることだけは間違いない。百条委員会の設置によって、復興利権の裏に暗躍する政治の実態が解明されることが期待されているが、石ノ森萬画館の関係者もまた、石巻青年会議所OBであることを議員の先生方には見落とさないでいただきたい。
週刊ダイヤモンドに過日、次の記事が掲載された。
http://astand.asahi.com/webshinsho/diamond/weeklydiamond/product/2012030700010.html
-『死に金』と化す予算-
宮城県石巻市。北上川河口に浮かぶ小さな島に、白い鉄板で造られた宇宙船のようなドーム施設が鎮座している。石巻に縁の深かった仮面ライダー作者の漫画家・石ノ森章太郎氏にちなんだ博物館、「石ノ森萬画館」だ。
「復興交付金を使って、萬画館をリニューアルしたい」
2月中旬、石巻市を訪れた平野達男復興大臣に対し、亀山紘市長から出てきたこの要望に、周囲の関係者は凍り付いたという。
復興交付金とは、2011年度第3次補正予算において国が新たに創設した制度のこと。危険区域からの集団移転など、各自治体が独自の「復興プラン」を国に提示し、そのプランを審査して国が資金を支給する。
実はこの萬画館には、文部科学省が教育施設復旧費として、すでに元通りに直すための予算約6億円を手当て済み。つまり今回の市の申請は、所得税や法人税の増税という『痛み』を国民に強いて捻り出す予算を使って、さらに施設をグレードアップしたいということなのだ。
漫画による街づくりを掲げてきた市が、この施設を「復興の起爆剤にしたい」と考えるのもわからなくはない。だが、「この施設だけ豪華になっても意味がない」(市職員)ことは、当の住民でさえ理解している。本来は、地盤沈下する中心市街地の再生とセットで計画を練る必要があるからだ。
こうしたトータルの復興計画もないばかりか、3000人を超える死者を出した石巻市は応急復旧すらままならないのが現状。石巻駅から萬画館に向かう橋もいまだに歩けない状況で、「今すぐ萬画館が必要なのか」と、復興庁関係者が苦言を呈するのもうなずける。
ダイヤモンドの記事には、このほかにも、各自治体が各々計画している祈念公園やメモリアルパ-クといった施設やハコモノ建設など、本当に復興に必要な予算か否かを問う内容が続く。被災地が上げてくる何でもありの復興予算要求を痛烈に非難しているが、石巻は特にひどい。政治の無策が利権を一人歩きさせ、混乱の元凶となっていることだけは間違いない。百条委員会の設置によって、復興利権の裏に暗躍する政治の実態が解明されることが期待されているが、石ノ森萬画館の関係者もまた、石巻青年会議所OBであることを議員の先生方には見落とさないでいただきたい。
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