原発稼働ゼロ:停止の泊原発 住民には不安と期待が交錯
毎日新聞 2012年05月06日 01時12分(最終更新 05月06日 01時39分)
かつて村の経済を支えた茅沼炭鉱で働いたが、1964年に閉山。1万人以上いた村の人口は半分以下に減った。宮谷さんも家族を連れて離村した。国内外の発電所工事に携わり、泊原発着工に合わせ帰郷。雇用の場をつくろうと会社を設立した。「外の人は脱原発と言うけれど、生活のため働いている人のことも考えてほしい」と訴える。
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対岸に泊原発を望む岩内町。北電と安全協定を結ぶ泊原発の地元4町村の一つだ。かつて町の漁師たちは最も強硬に建設反対を訴えたが、北電が提示する漁業補償金を前に反対の声は小さくなった。
最後まで反対を貫いた岩内郡漁協元理事の男性(84)は子供には漁師を継がせず、船を手放した。「漁師が賛否でいがみ合うより生活が大事だった」。ただ、東京電力福島第1原発事故を思い、今は悔やむ。「昔、北電は東電も原発をやっているから安全と触れ回った。でも、結局こうなった」とつぶやいた。