原発稼働ゼロ:停止の泊原発 住民には不安と期待が交錯
毎日新聞 2012年05月06日 01時12分(最終更新 05月06日 01時39分)
北海道電力泊原発3号機が定期検査(定検)で停止した5日、立地自治体の泊村は雨にぬれた。北海道西部・積丹(しゃこたん)半島の西側付け根にあり、かつて道内最古の炭鉱・茅沼(かやぬま)炭鉱を擁した。「閉山後のように廃れるのではないか」「脱原発の一歩に」。住民には不安と期待が交錯する。【岸川弘明、吉井理記】
日本海に臨む人口約1900人の過疎の村。海岸を走る国道229号沿いに家々が点在する。普段から人影はまばらだが、村の南にある原発の門は、この日も朝夕、作業員が乗る多くのトラックや乗用車が出入りした。近くの北電原子力PRセンター「とまりん館」には家族連れらが訪れ、原発の仕組みや安全対策を聞いていた。
「この先、宿泊予約は読めません。北電さんあっての商売ですから死活問題です」。原発の正門近くに民宿兼食堂を構える渋田真澄さん(53)は、再稼働の遅れに気をもむ。
機械設備工事会社経営の宮谷秀吉さん(76)も再稼働を望む。地元出身者ら約50人を雇用。原発の保守点検などを請け負い「何年も止まったままなら仕事が減る」と嘆く。