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皇居の周りで希少カエルが大繁殖 群れなすオタマジャクシ

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2012/5/5 7:00
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写真F:半蔵門付近にある千鳥ケ淵公園の噴水池
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写真F:半蔵門付近にある千鳥ケ淵公園の噴水池

 千鳥ケ淵公園の噴水池は、半蔵門の近くにある目立たない小さな人工池(写真F)だが、ここでもアズマヒキガエルのオタマジャクシがたくさん生まれ、狭い池を我が物顔で動き回っている(写真G)。この狭小な噴水池でカエルが産卵し、大量のオタマジャクシが孵化するというのはほとんど前例がなく、公園を管理する千代田区まちづくり推進部道路公園課の担当者も「おそらく初めてのこと。この噴水池でオタマジャクシの管理をしたという過去の記録はない」と驚いている。確かに、これだけ多くのオタマジャクシの姿は、数十年この近辺に住み、千鳥ケ淵公園をしょっちゅう通る筆者にも記憶がない。

■池の清掃時、卵塊を保護

写真G:アズマヒキガエルは陸に住むカエル。オタマジャクシは体長1~3センチと小さく、5~6月に子ガエルとなって陸に移動する(千鳥ケ淵公園)
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写真G:アズマヒキガエルは陸に住むカエル。オタマジャクシは体長1~3センチと小さく、5~6月に子ガエルとなって陸に移動する(千鳥ケ淵公園)

 千代田区では桜の開花に合わせて毎年春に「千代田のさくらまつり」を開催しており、例年、開幕の前に噴水池の水を取り換えるなどの清掃作業を行っている。今年も3月中旬に民間業者に委託して清掃を行ったが、その際に噴水池の底に産み付けられた長いひも状の大量の卵塊が見つかった。筆者もこの卵塊を目にしており、まさか捨てられやしないかと内心やきもきしていたが、道路公園課は業者に卵塊を保護するように頼み、清掃中は別の場所に移して作業終了後に元に戻した。「環境面と生物多様性への配慮」が保護の理由だが、「お役所仕事にしては杓子(しゃくし)定規ではない、融通の利いた柔軟な対応」と言ったら失礼だろうか。

写真H:成長したアズマヒキガエル(国立環境研究所 侵入生物データベースより)
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写真H:成長したアズマヒキガエル(国立環境研究所 侵入生物データベースより)

 アズマヒキガエルは日本固有種であるニホンヒキガエルの亜種で、別名ガマガエル(写真H)。体長は5~15センチ程度。東日本を中心に広く分布し、伝統大道芸の「ガマの油売り」に取り上げられるなど、古くから日本人にはなじみのある身近なカエルだ。普段は陸上で生活しており、繁殖期は水場で産卵するが、孵化してから2~3カ月で子ガエルになって陸に移動する。夜行性で、跳びはねることはほとんどなく、都会でも小雨が降る夜などには公園や神社・お寺、家の庭先などでノソノソ歩く姿が見受けられる。

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オタマジャクシ、千鳥ケ淵公園、アズマヒキガエル

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