近隣市町村が連携して生活機能を確保する「定住自立圏構想」で、中野、飯山両市は2日までに、共同で圏域の中核的な役割を果たす「複眼型中心市」として、周辺4町村と協議を進めると決めた。中心市は圏域で1市が一般的だが、中野市の小田切治世市長は同日の市議会全員協議会で「連携する事業の選択肢が増える」と説明した。「複眼型」は県内で初めて。
参加するのは両市と北信広域連合を構成する下高井郡山ノ内町、木島平村、野沢温泉村、下水内郡栄村。重点事業として、県厚生連北信総合病院(中野市)の再構築や飯山赤十字病院(飯山市)の救急外来受け入れ支援、路線バスなど公共交通対策を掲げる。
両市は6月に中心市を宣言。各市町村の担当部課長による幹事会などで連携内容を検討した上で、9月に各町村と協定書を締結する計画だ。
中心市の人口要件は少なくとも4万人超。4万5千人余と要件を満たす中野市が昨年7月に周辺7市町村に呼び掛け、協議を開始。同市は当初、単独で中心市になる意向だったが、2万2千人余の飯山市が「広域観光の起点となる北陸新幹線飯山駅の開業を控えている」ことなどを理由に、両市で複眼型中心市となることを提案した。
呼び掛けを受けたうち、上高井郡小布施町、高山村は「現在も連携しており、新たな枠組みは必要ない」(小布施町)などとして参加しない。
総務省などによると、県内の定住自立圏の取り組みは飯田、上田、佐久各市を中心市とする3圏域で進んでいる。複眼型は北海道や高知県などに4例ある。